列女傳卷四 蔡人之妻

夫の病を理由に去ることを拒む

  • 蔡の人の妻は、宋の人の娘である。蔡に嫁いだのち、夫が悪疾にかかった。母は娘を別の相手に嫁がせ直そうとしたが、娘は「夫の不幸は、すなわち私の不幸です。どうして夫を見捨てられましょう。人に嫁ぐ道は、一度盃を交わせば、生涯改めないものです。不幸にも悪疾に遭ったからといって、その心を変えることはありません」と言った。
  • さらに「たとえ臭いの悪い芣衛の草でも、摘み取るときから懐に収めるときまで、次第に親しみが増していくもの。まして夫婦の道はなおさらです。夫に大きな過ちがあるわけでもなく、夫が私を離縁したわけでもないのに、どうして私が去ることなどできましょうか」と述べ、最後まで母の勧めを聞き入れず、芣衛の詩を作った。
  • 君子は「宋の娘の志はまことに貞節ひとすじであった」と評した。

史論

  • 頌に曰く、宋の娘は心を専らにし、志を変えなかった。夫が悪疾にかかっても、その心は変わらぬままであった。母が離縁を勧めても詩を作って聞き入れず、後世の人はこれを称え、貞節の鑑とした、という。