出自
衛討伐の意志を見抜く
- 桓公は淫らな音楽を好んだが、衛姬はそのために鄭・衛の音楽を聴かなかった。桓公は管仲・甯戚を用いて覇道を行い、諸侯はみな朝見したが、衛だけが従わなかった。桓公は管仲と衛を討つ相談をした。
- 朝から退いて奥に入った桓公を見て、衛姬は簪と耳飾りを外し、環と佩玉を解いて堂を下り、再拝して「衛の罪をお裁きください」と願い出た。
- 桓公が「私は衛と何のいさかいもない、なぜそのようなことを言うのか」と問うと、衛姬は「人君には三つの顔色があると聞きます。顕著に喜び楽しむ様子は鐘鼓や酒食を楽しむ色、静かで沈んだ様子は喪や禍の色、憤って手足を張るような様子は攻伐の色です。今、王は歩みを高く上げ、声を荒げておられます。これは衛を攻める気持ちがあるからこそと見て、お願い申し上げたのです」と答えた。桓公はこれを認めた。
- 翌日の朝見で、管仲が進み出て「王の御様子は恭しく気を抑え、言葉もゆっくりで、討伐の意志は見えません。衛を討つのはお止めになったのですね」と述べると、桓公は「その通りだ」と答えた。
- 桓公は衛姬を夫人に立て、管仲を「仲父」と呼び、「夫人が内を治め、管仲が外を治める。私は愚かでも、これで世に立つに足る」と述べた。
評
- 君子は衛姬を信義があり善行の人と評した。詩に「展如之人兮、邦之媛也」とある。
史論
- 頌にいう。齊桓の衛姬はまことに忠実で誠実であった。桓公が淫楽を好んだとき、姬はそのために身を慎んだ。王の顔色を見て罪を請うと、桓公はこれを受け入れ、内を治めさせて夫人に立てた。