明史演義第二十四回 書を往復させ囚使怒りを激す/慌てて粟を運び伏に遭い糧を失う (往復貽書囚使激怒 倉皇挽粟遇伏失糧)
夾河の激戦
- 建文三年春、燕王朱棣は道衍の勧めに従い再び南征に出る。出陣に先立ち戦死した張玉らを祭り、将士の家族を涙させた。
- 保定に至り軍議。徳州方面へ進み、盛庸の軍が夾河に布陣していると知る。
- 燕王自ら偵察に出て射撃で追撃兵を退ける。歩騎で盛庸の陣に迫るが盾を並べた守りは堅く、長矛で盾を引き剥がして突破口を開く。
- 燕将譚淵は敵陣の乱れを見て功を焦り突入するが、盛庸配下の都指揮莊得に討たれる。救援に来た指揮董中峰も莊得に斬られる。
- 燕軍一時後退するが、朱能が救援に駆けつけ、燕王は間道から南軍背後を突き挟撃、大混乱に陥れる。
- 莊得は奮戦するが乱矢を浴びて戦死。剽悍で知られた張能も乱戦の中で戦死し、なお大旗を手にしたまま立ったまま息絶えていたため燕軍も恐れて近寄れなかった。
- 楚智も奮戦の末に毒矢を受けて捕らえられ、燕王を罵り続けて処刑された。
- 日暮れ、両軍とも兵を収める。燕王は譚淵ら多数の戦死者を悼みつつ、少数の騎兵のみで盛庸軍営近くに露営した。
大風による逆転
- 翌朝、燕王は包囲される中も悠然と兵を集め、堂々と陣を抜けて去る。盛庸軍はあえて手を出せなかった。
- 翌日再戦。互角の激戦の末、両軍疲弊したところに東北の強風と砂塵が巻き起こり視界を奪う。燕王はこれに乗じて左右両翼で盛庸軍を挟撃、盛庸軍は総崩れとなり滹沱河に追い落とされて多数溺死。盛庸は徳州に退いて敗報を上奏した。
建文帝の動揺と和議の失敗
- 建文帝は寵愛した宮女翠紅の自死(燕王討伐を進言して疎まれた末の自殺)に心を痛めていたところに敗報が届き動揺する。
- 齊泰・黄子澄を召して密議。募兵を進める一方、燕王には和議を持ちかける詔を送る。方孝孺は「今は偽って和議を結び、時間を稼いで各方面の兵を集めて挟撃すべき」と献策、建文帝はこれに従い薛嵓を遣わして罷兵を求める詔を届けさせる。
- 詔が届く前に燕王は藁城で呉傑・平安の挟撃を受け苦戦するが、再び大風が吹いて形勢逆転、呉傑・平安を撃破し多数を捕虜とする。順德・広平・河北の諸県も攻略、燕軍の勢いはますます盛んになった。
薛嵓の使者行
- 薛嵓が詔を持って燕王の陣に至る。燕王は薛嵓を怒って詰問し、部下たちは処刑を求めるが、燕王は「使者は斬らぬ」と制し、逆に自軍の陣容を見せつけて威圧する。
- 燕王は薛嵓に、自分は皇帝の親族として富貴を極めているのに求めるものは無い、ただ奸臣の誅殺と罷兵を望むのみと言わせ、京へ帰す。
- 京に戻った薛嵓は方孝孺・建文帝に燕軍の強さを報告。建文帝は動揺するが孝孺は「薛嵓は燕王の説客と化した、信用できない」と退ける。
- 燕王は指揮武勝を遣わし、朝廷が罷兵を許しながら盛庸らが撤兵しないと訴える。建文帝は動揺するが孝孺は「兵を退けば二度と集められない、武勝を厳罰にして決別すべき」と主張、建文帝はこれに従い武勝を投獄した。
兵糧線の攻防
- 燕王は激怒し、李遠らに南軍の服装で紛れ込ませ済寧・谷亭一帯の糧秣を焼き払わせる。邱福・薛祿も済州を落とし沛県の南軍糧船数万艘を焼き尽くす。南軍は兵糧不足に陥り、援軍の袁宇も李遠の伏兵に敗れた。
- 京師は動揺し、方孝孺は燕王世子高熾に離間の書を送る計を献じるが、世子は封を開けずそのまま燕王の陣に送り届け、燕王は疑いを解いて逆に世子を慰める書を返す。離間策は不発に終わった。
房昭・平安の敗北と梅殷の登用
- 盛庸は房昭に易州西水寨を守らせ北平を窺わせるが、燕王自ら迎撃し斉眉山で伏兵により撃退。房昭は寨を捨てて敗走、平安も朱能に敗れて真定に退いた。
- 建文帝は太祖の遺命により梅殷(太祖の娘婿)を召し、淮安に鎮させ四十万と称する兵を集めさせる。梅殷は妻の寧国公主を通じて燕王に書を送るが燕王は応じなかった。
- 朝廷の中官の暴虐に不満を抱いた者が密かに燕王に京師の空虚を伝え、燕王は南京への進撃を決意。東平・済陽など次々に攻略し徐州の糧道を断つ。
- 徐輝祖が援軍として齊眉山で燕軍と激戦、互角の戦いとなるが燕将李斌が戦死するなど燕軍は一時押される。燕王は将兵の撤退論を退け、朱能の説得もあり軍を立て直した。
靈璧の壊滅
- 燕軍の一時の不利を見た廷臣は徐輝祖の召還を求め、建文帝はこれに応じる。徐輝祖が去り何福は孤立、燕軍は南軍の糧道を襲い続ける。
- 平安が糧を運ぶ途上、燕軍の奇襲を受けるが辛くも撃退。しかし燕王自らの追撃で軍を二分され、駆けつけた何福との合流でようやく燕軍を退ける。
- 油断した平安・何福が糧車を率いて靈璧へ向かう途上、林に潜んでいた高煦率いる伏兵に急襲され大敗、糧車を失い一万余りの兵を喪失。
- 糧食が尽きた南軍は淮河への移動を決め、合図の号砲を待って一斉に営を出るが、燕軍が四方を包囲しており、出た端から討ち取られる大惨事となった。
評語
(本回に評語なし)