民國演義第三回 密令を奉じ馮国璋威を逞しくし、総統に孫中山就任す (奉密令馮國璋逞威 舉總統孫中山就職)
袁世凱の入京と組閣
- 袁世凱が北京に到着し、慶親王・徐世昌らの出迎えを受け、摂政王載灃の邸を訪ねて謙遜しつつ実権掌握への布石を打つ。
- 隆裕太后の懇請を受け内閣総理に就任し、梁敦彦・趙秉鈞・厳修・唐景崇・王士珍・薩鎮冰・沈家本・張謇・唐紹儀・達寿らを閣員に選任する。各省宣撫使の人選にも苦労するほど清朝の権威は失墜していた。
- 長江水師や艦隊も次々と革命軍側に付き、直隷・河南以外の華北も動揺する。四川も独立し、南京だけは張人駿・鉄良・張勲が清朝側で孤立して守っている状況が示される。
漢陽・武昌の攻防
- 上海都督陳其美らが江浙連合軍を組織し南京攻略を支援する動きを見せるなか、袁世凱は内帑(西太后の遺産)を隆裕太后から引き出させ、馮国璋の軍に軍資金を与えて漢陽攻撃を厳命する。
- 民軍総司令・黄興が黎元洪の要請で漢陽防衛の指揮を執るが、新兵中心の軍で苦戦する。馮国璋の夜襲により漢陽城外の要地を奪われ、黄興は武昌へ退却し、漢陽は清軍の手に落ちる。
- 馮国璋は男爵に叙され勢いに乗り武昌への砲撃を続けるが、対岸の一般市民が犠牲になる惨状に諸国領事が仲介に入り停戦交渉が始まる。互いに相手側を「匪」呼ばわりする条件を出し合い折り合わず、いったん休戦のみ成立する。
南京の陥落
- 南京では江南九鎮統制・徐紹楨が寧軍総司令として挙兵し、浙軍・蘇軍・鎮軍・滬軍・済軍の連合軍が張勲の防衛軍と激戦を繰り広げる。
- 烏龍山・幕府山・紫金山・天保城・雨花台などの要地を次々奪われた張勲は、愛妾を先に脱出させたのち自身も残兵とともに南京を脱出し、連合軍が入城する。
- 南京陥落により民軍・清軍が漢陽対南京で互角の戦果となり、講和機運が生まれる。
臨時政府の樹立と孫文の就任
- 袁世凱は摂政王載灃を退陣させ、隆裕太后から全権を委任される形で実権を固める一方、唐紹儀を議和代表として南下させる。
- 民軍側は伍廷芳を代表とし上海で交渉を開始する。並行して孫文が帰国し、南京で開かれた各省代表会議で臨時大総統に選出される(当初黄興・黎元洪を正副元帥に推す動きがあったが黄興が固辞して混乱、最終的に孫文推戴でまとまる)。
- 孫文は民国元年一月一日、南京で臨時大総統に就任し、五色旗を掲げ宣誓式を行う(誓詞要旨:清朝専制の打倒と民国の安定を国民に誓い、目的達成後は総統職を退くと約束する内容)。
評語
- 本回の多くの事実は前著『清史演義』にも記載があるが、視点を変えて詳略を入れ替えることで両著が補い合う構成にしていると説明し、重複ではなく趣向の違いとして読んでほしいと述べる。