洪秀全演義第三十五回 李秀成師を出し淮郡を鎮め、林鳳翔敗走し天津に陥る (李秀成出師鎮淮郡 林鳳翔敗走陷天津)
林鳳翔の驕りと進軍
- 李開芳・吉文元が衛輝を平定した報せに、林鳳翔は広平府攻略、さらに天津から北京への進撃を決意する。溫大賀・朱錫琨は正定攻略や糧食確保を懸念して諫めるが、林鳳翔は聞き入れなかった。
- 天王の使者が林鳳翔を威王、李開芳を毅王、吉文元を順王に封じる。林鳳翔は忠王李秀成の北上を耳にし、自分の功が忠王に劣ると見なされることに不満を抱き、以後ますます独断で進軍を急ぐようになる。
- 曾立昌・朱錫琨・溫大賀が正定への備えを重ねて進言するも林鳳翔は退けず、曾立昌にわずかな兵で臨名を守らせただけで広平府へ進軍を強行した。
李秀成、北伐再開を決断
- 李秀成は林鳳翔が単独で直隷深くまで入り込んだことを憂慮し、天王に孤軍深入の危うさを訴えるが、天王は連勝続きの林鳳翔を楽観視する。
- 李秀成は自ら五万の兵を率いて淮郡方面から北伐に出陣、檄文を発して清朝打倒と民心慰撫を布告し、各地の帰順を得ながら淮上へ進んだ。清将勝保は李秀成が黄河を渡るのは容易でないと見て、林鳳翔迎撃に専念する。
広平・大名・天津の攻略と凶夢
- 林鳳翔は広平府を無血で得て増長し、大名府を李開芳・吉文元とともに攻略。清の默特・貝子德勒克は敗走した。
- 進撃の途上、林鳳翔は河間府で紅日が墜ちて洪水が城市を呑む凶夢を見る。部下は不吉として進軍の中止を進言するが、林鳳翔は意に介さず天津攻略を強行し、これを陥落させた。
天津・北京をめぐる激戦と大敗
- 清の咸豐帝は動揺し、僧格林沁・桂良・勝保らを結集させて迎撃態勢を敷く。林鳳翔・李開芳・吉文元は北京を三方から攻めるべく分進するが、勝保・桂良・僧格林沁の挟撃を受け、次第に苦境に陥る。
- 吉文元は勝保軍との激戦で銃弾を受けて落馬し戦死、軍は壊滅的な損害を被った。李開芳も軍心の動揺から高唐へ敗走する。
- 林鳳翔は僧格林沁と対峙しつつ、朱錫琨・李文祥・溫大賀に勝保・桂良・默特への分散防戦を命じる。溫大賀は決死の覚悟で默特軍を撃退し、さらに手薄になった天津を奇襲して奪回、林鳳翔は軍を二手に分けて自ら天津へ引き返した。
評語
原文にはこの回末尾に評語・後人評は付されていない。