高士傳卷二 顏斶

「士貴し、王貴からず」

  • 顔斶は斉の人。宣王が召見し、「斶よ、前へ」と言うと、斶もまた「王よ、前へ」と返した。宣王は不快に思った。
  • 側近が「王は君主、斶は臣下です。王が斶に前へと言えば、斶も王に前へと言うのは道理に適いません」と諫めると、斶は「私が前に進めば勢力を慕う者になり、王が前に進めば士に赴く者になります。私が勢力を慕う者になるより、王が士に赴く者になる方が良いでしょう」と答えた。
  • 王は色を作して「王者が貴いのか、士が貴いのか」と問うと、斶は「士が貴く、王者は貴くありません」と答え、根拠を問われると「昔、秦が斉を攻めた際、『柳下季の墓から五十歩以内で樵をする者は死罪とする』という令を出し、また『斉王の首を得た者には万戸の侯に封じ黄金千鎰を与える』という令も出しました。これで見れば、生きた王の首は、死んだ士の墓にも及びません」と答えた。
  • 宣王は「顔先生を私のそばに置き、太牢の食、安車、妻子には立派な衣を与えよう」と続けた。しかし斶は辞去を願い、「私は遅い食事を肉の代わりとし、歩くことを車の代わりとし、罪なきことを貴さの代わりとし、清浄で正しくあることを楽しみとしたいのです」と告げて去った。