高士傳卷二 老商氏

尹生の焦り

  • 老商氏は出自不明。列禦寇が師事し、あわせて伯高子を友として道に進んだ。
  • 尹生はこれを聞いて列子のもとに寄宿し、数か月家に帰らなかった。折を見て奥義を求めたが、十度尋ねて十度とも教えを得られなかった。尹生は恨んで暇乞いを願い出たが、列子は引き止めもしなかった。数か月経っても諦めきれず、再び列子のもとを訪れた。
  • 列子が「なぜ何度も出入りするのか」と問うと、尹生は「以前教えを乞うたのにお答えいただけず、恨みを抱いていました。今はそれも消えたので、また参りました」と答えた。

列子の修行談

  • 列子は「以前お前を悟りに近い者と思っていたが、今のお前はここまで浅ましいのか」と言い、自らの修行の道のりを語った。学び始めて三年は心に是非を思わず、口に利害を語らぬようになって、初めて老商から一瞥を得た。五年後には心に是非を思い、口に利害を語るようになって、老商が初めて微笑んだ。七年後には心に思うことにも口に語ることにも是非利害が無くなって、老商が初めて自分を並んで座らせた。
  • 「今のお前は先生の門にいてまだいくらも経っていない。虚空を踏み風に乗ることなど得られようか」と結んだ。