高士傳卷一 原憲

出自

  • 原憲は字を子思といい、宋の人、孔子の弟子。魯で四方を土壁に囲んだだけの粗末な家に住み、屋根は生草を葺き、蓬の戸は壊れかけ、桑の枝を軸に甕を窓にした、褐布で塞いだだけの部屋で、上から漏り下は湿るなかで端座して琴を弾いていた。

子貢の来訪

  • 衛の宰相となった子貢が四頭立ての立派な車を連ねて訪れ、狭い路地に轅も入らず、原憲に会いに来た。原憲は韋の冠に踵の破れた履で門に出た。
  • 子貢が「ああ、先生はどこかお加減が悪いのですか」と問うと、原憲は「財がないことを貧といい、学んだ道を行えないことを病というと聞く。私は貧しいだけで病んではいない。世におもねって行い、徒党を組んで交わり、学問を人に見せるため、教えを自分を飾るために行い、仁義を偽り、車馬で飾り立てることを、私は忍びなくしない」と答えた。
  • 子貢は恥じ入って言葉もなく、生涯自らの言葉を過ちとして恥じたという。