紀效新書藤牌總說篇

  • 要旨: 盾(牌)には円形・長形の二種が古来あり、いずれも防御に主眼を置く。藤牌はその軽便さから南方の水田・泥濘に適した装備であり、投げ槍(標)と組み合わせて敵の目を欺きつつ攻撃に転じる点に功用があると説く。

藤牌総説

  • 建国初期には木に革を張った牌が使われたが重く歩みにくかったのに対し、福建発祥の藤牌は銃弾こそ防げないが矢・石・槍・刀を防ぎ、甲冑の代用として南方の泥地で特に便利であるとする。
  • 牌は軽く堅く密でなければならず、全身と四方を余さず覆えることが求められる。
  • 牌には標槍を伴わせて初めて意味を持ち、標がなければ牌は防ぐだけで殺せないとする。進むべき時に初めて標を放つべきで、軽々しく放って好機を逃してはならないとする。
  • 標を放った後は腰刀で切り込むが、刀は長く軽く鋭くなければ間合いを詰められないとする。
  • 牌を扱う兵は胆勇があり身軽で機敏な若者を選ぶべきとし、隊列の先頭に置いて全軍の盾となり、長短の武器がこれを援護する構成が望ましいとする。牌隊は結束を保ってこそ機能し、離れて疲弊してはならないと説く。
  • 具体的な用法として、右手に標槍、腰刀を牌の内側の柄に添えて構え、敵の長槍が届く直前に標を投げつけ、敵が槍で払おうとする隙に踏み込んで刀で斬るという連携を示す。標を投げた後に慌てて刀を取り出せないことが最大の失敗であるとし、この間合いに入れば短兵への対応はより容易になるとする。
  • 牌を用いる型(旧法)として、鑼の音に合わせて牌を壁のように構え、電光のように翻す型や、体を伏せて足を隠す型を説き、「大士星牌歌」「閃馬牌歌」と呼ばれる牌と刀を組み合わせた連続動作の口伝(覱牌・砍刀・翻身・小跳など)を示す。

狼筅総説

  • 狼筅は形が重く扱いにくく、他の武器のような機敏さに欠けるため一見利器とは思えないが、実は隊列の垣根であり、一軍の門戸に当たる存在であると説く。門戸のない住まいに盗賊が入れないのと同じ理屈で、狼筅がなければ敵が入り込みやすいとする。
  • ただし優れた道具も扱う人を選ぶとし、名剣も未熟な子どもが持てば逆に奪われるように、狼筅も力の強い者に扱わせてこそ活きると説く。
  • 狼筅は枝が密で堅く、先端に利刃を備えたものを用い、前方は牌で、左右は長槍で挟み、叉鈀・大刀が翼として連携する編成を前提とする。狼筅自体は防ぐことはできても殺すことはできず、他の武器との連携があってこそ機能するとする。
  • 実戦で兵が恐怖に駆られ、平素の熟練を忘れて狼狽しがちな中でも、枝葉が茂った狼筅は全身を覆い隠す安心感を与え、兵が踏みとどまる胆力を支える効果があるとする。ただし精鋭が風雨のごとき勢いで攻める局面では、かえって重い荷物になり得るとも付け加える。