間書敵の腹心を側から誘う間諜――張儀の靳尚・鄭袖利用

李衛公はまた次のように言う。敵の腹心となる者については、側から誘い込んでこれを間諜として用いる。

『李衛公兵法』にいう。もし敵に寵愛される側近で腹心として任用されている者がいれば、我が方は間諜を遣わしてその者に珍しい玩物を贈り、その欲するままにさせ、それによって誘い込むべきである。

按ずるに、敵の寵愛される側近や腹心を、側から誘い込んで間諜として用いるとは、たとえば張儀が厚い贈り物をもって楚の懐王の政務を執る靳尚に取り入り、また懐王の寵姫である鄭袖に対して詭弁を仕掛けた例がこれに当たる。