間書韋孝寛と斛律光
事例
- 『齊書』 ― 斉の斛律光、字は明月。当時の名将であった。後周の韋孝寛は玉壁を守り、斛律光の英武を忌んだ。孝寛の参軍・曲厳は卜筮に通じており、孝寛に「来年、斉の朝廷では必ず大きな殺戮がある」と言った。孝寛はそこで曲厳に謡を作らせ、間諜にその文句を鄴へ漏らさせた ―「百升 天に飛び上がり、明月 長安を照らす」(百升=一斛、明月=斛律光の字)。またこうも言わせた ―「高山は推さずして自ら崩れ、槲樹は扶けずして自ら立つ」。
- 祖珽がこれに続けて作った ―「盲いた老翁の背に大斧を下し、饒舌な老母は物を言えなくなる」。そして子どもたちに路上で歌わせた。穆提婆がこれを聞いて母の陸令萱に告げた。令萱は「饒舌」が自分を指すと考えた(令萱は後主の乳母)。「盲いた老翁」は祖珽を指す。かくて相ともに謀り、この謡を後主に奏上して、斛律光は誅された。
- 周の武帝はこれを聞いて境内に大赦を行い、はじめて斉を滅ぼす志を抱き、ついにその国を平らげた。