十六国春秋後秦錄十 法智
観世音菩薩への信仰
- 法智、俗人であった頃、単身で大沢を歩いていると突然猛火が四方から起こり逃げ道もなくなったため、その場で観世音菩薩を礼拝し誦えたところ、まもなく火は過ぎ去り、沢の草は一本残らず焼けたのに智のいた場所だけは焼けなかった。以後仏法を深く信奉するようになった。後に興の将として魏討伐に従軍した際、軍が退却する中で馬を失い、羌族の包囲の中に落ちてしまったが、溝のほとりの茂みに身を隠し、切に観世音菩薩を念じたところ、溝を隔てて人が遠くから声をかけ、後続の軍に「殺せ」と指示したが、軍が過ぎて捜索しても誰も見つからず、難を逃れることができたという。