十国春秋卷八十八 吳越十二 列傳 目醫
目醫
- 目醫の胡某は、どこから来たものか分からない。自ら「代々内外障の眼を療す鍼法を伝えており、独り神業である」と言っていた。武肅王の末年、目の病を患い、召してこれを治させた。医者は「目は治し易いのですが、しかし大王は尋常の人ではなく、殆ど天が大王を患わせている所以かと存じます。もしこれを療せば、天に違うことになります。寿命に益がないことを恐れます」と言った。王は「私は身を行伍から起こし、方面(一地方の支配)を跨ぎ持ち、富貴は極まった。ただ両眼で物を見ることができれば、たとえ鬼になろうとも痛快ではないか」と言った。すると手に応じてたちまち目が開いた。王は喜んで物を万を数えるほど賜ったが、医者は受けなかった。翌年、王は果たして薨じた。