十国春秋卷七十五 楚九 列傳 曹衍

貧窮の中で湖湘馬氏故事を撰する

  • 曹衍は(原文闕字、出身地不明)人である。若くして文辞を以て名を知られたが、偃蹇(不遇)で世に用いられなかった。周行逢が湖南に拠っていた頃、仕進はもっぱら門蔭(家柄による任官)を尚んでいた。衍は布衣の子であったので、しばしば文章を献じたが用いられず、郷里に退いて教授した。張文表の叛に及び、衍を辟して幕職とした。事が敗れると逃げ去った。折しも赦に遇い、ようやくあえて出ることができたが、窮困して自ら進む術がなかった。旧聞を采摭(採集)して「湖湘馬氏故事」二十巻を撰し、宋に詣でてこれを上った。宋の太宗はその貧しく老いたことを閔(あわ)れみ、将作監丞を授けた。