十国春秋卷七十三 楚七 列傳 丁思覲

北伐を説いて自刎する

  • 丁思覲は、その世系を失っている。文昭王の牙将であった。累進して天策副都軍使となった。この時、中原は大いに乱れていたが、文昭王は奢侈の欲に飽くことなく、工作に糜費していた。
  • 思覲は上書して切に諫めて言った。「先王は卒伍より起こって攻戦し、この州を得られました。朝廷に依拠して隣敵を制し、国を三世に伝え、地は数千里、兵は十万を養っております。今、天子は蒙塵し、朝廷に主なく、まことに覇者が功を立てるべき時であります。誠によく国の兵をことごとく出し、荊襄より京師に趣いて天下に義を倡えれば、桓公・文公の業となりましょう。それなのになぜ国用を耗して土木の事に窮まり、児女子の楽しみとするのですか」。
  • 王は怒ってその官爵を削った。思覲は瞋目して王を直視し、「孺子はついに教えることができない」と言うと、自ら喉を扼して死んだ。