十国春秋卷六十五 南漢八 列傳 牢氏
牢氏
- 牢氏は尚書左丞、鍾允章の妻である。賢行があった。允章は名臣と号されていたが、性は吝嗇で、毎年賜与を受けること甚だ厚かったが、未だかつて故人(旧友)に分け与えたことがなかった。
- 牢氏は機会をとらえて允章に語って言った、「私が昔あなたに嫁いだとき、家には釡(かま)や□(底本欠字)もなく、ただ一つの銚(なべ)を用いるだけでしたが、それでもなお賓客や友人をもてなしておりました。今、宝貨は室に満ちておりますのに、義の道は塞がれています。それではたとえ富貴であっても、どうして尊ぶに足りましょうか」と。そして銚を出して允章に示した。
- 允章は大いに恥じ、これより次第に財を分け散らすようになった。