十国春秋卷五十七 後蜀十 列傳 楊千度

猿使い

  • 楊千度はもと俳優であった。猿を戯れさせることを善くし、闤闠(市場)の中に常に十余頭を飽かせて養い、人の言語を習わせていた。
  • ある日、内厩の猢猻(猿)の綱が絶えて殿上の閣に走り出た。後主が人に命じて射させたが当たらず、そこで千度に命じてこれを捕えさせた。千度が謝恩を終えると、猿十余頭はみな殿上に向かって手を叉ねて拝揖した。後主は大いに喜び、千度に緋衫と銭帛を賜り、教坊に収め入れた。
  • ある内臣が「猢猻はどうして人の言語ができるのか」と問うと、「猿は獣であって実は人の言葉を解しません。私はつねに霊砂を餌としてその獣心を変え、しかる後に教えることができるのです」と答えた。内臣は深くその説を訝しんだが、好事家がその意を真似て、多く霊砂を鸚鵡や犬・鼠などに食べさせてこれを教えた。