十国春秋卷四十五 前蜀十一 列傳 馮見鬼
生涯
- 馮見鬼はその名を失っており、遂州の人である。目の中に何かを見ているようで、人の吉凶を知った。
- 当時、陳絢が武信軍留後であったが、中書令の劉知俊が代わって任に来て、しきりに陳絢の旧事を摘発し重ねて上奏し論じた。馮見鬼は陳絢に「府主(あなた)は元戎(大将)と号していますが、前に旗節(節度使の印)がないのは、恐らく長くはないでしょう。しかしどうか憂えないでください」と言った。一年もたたぬうちに劉知俊は果たして誅に伏した。
- 官人の林泳という者、もと閩の人であったが、常に同僚に「どうして生きている人間が終日鬼を見るなどということがあろうか。彼の妄言を聞くな」と言っていた。馮見鬼はこれを聞いて大いに不平を持ち、ある日衆人の前で林泳に「あなたは官に就いても多くの場合終わりを全うできない。かつて一人の女子を無実の罪で殺し、それが祟りとなっているからだ。私はその姓名を具(つぶさ)に言うことができる」と言った。林泳はこれによって慚じ服し、その寃(無実の罪)を解いてくれるよう求めた。