十国春秋卷三十四 南唐二十 列傳 陳曙

百歳と呼ばれた蘄州の異人

  • 陳曙は蘄州の善壇観の道士である。人々はこれを百歳と言ったが、実際にはその年齢は分からなかった。歩行は一日数百里に及んだ。郷人が会集したり祭神を行ったりすると、曙は招かれるのを待たずにやって来て、酔い飽くとすぐに辞去した。これによって人々は多く席を空けて醴(甘酒)を設けてこれを待った。同じ日に数軒に至ることもあった。住まいの中にはただ一つの榻(寝台)と数巻の素書があるだけで、蛇や虎と雑居していた。門戸も設けず、雨雪が部屋いっぱいに降り込んでもやはり平然としていた。ある者が彼が外出する隙に窺いに行くと、曙は必ず外から帰ってきた。数十年にわたり、顔つきや鬢はほとんど変わらなかった。
  • 烈祖はこれを聞いて召したが、使者が到着する前に突然嘆息して「私は老いた、国に何の益があって無理に召されるのか」と言った。数日後、使者が再び召したが、ついに行かなかった。
  • 保大年間、常に夜になると独り庭で香を焚き、天を仰いで拝み祈り、退いて慟哭した。まもなく淮上で兵が起こったので、人々は予知していたのだと考えた。その後、江を渡って永興の景星廃観に居し、村人でこれを見る者はまれであった。卒するに及んで数日して棺に納めようとしたところ、全身から汗が出た。