十国春秋卷三十二 南唐十八 列傳 王感化

老牛の詩で座を沸かせた歌人

  • 王感化は建州の人で、謳歌をよくし、声韻は悠揚として清らかに林木に響いた。はじめ光山の楽籍に属し、後に金陵に入って楽部を統率し、歌板色(歌手の役職)となった。保大年間、たいそう寵愛を受けた。元宗が暑月、北苑で相臣の厳続らと曲宴したとき、老牛が大樹の陰で休んでいたので、楽工に命じてこれを詠ませたところ、感化はすぐさま進み出て「困り臥せる斜陽、枯れ草を噍む。近頃問えば喘ぐこと更に人無し」と詠んだ。厳続らは慚じ入った顔をした。
  • 元宗は常に『浣溪沙』の二闋を自ら書いて感化に賜った。「菡萏香銷翠葉残」と「手捲珠簾上玉鈎」というのがこれである。後主が即位すると、感化はこの詞の書札を献上し、後主は感動してこれを優遇し賞した。