十国春秋卷七 列傳 王安

王安

  • 王安は廬州廬江の人である。若くして太祖に仕え、麾下に属した。太祖が常に戦に臨んで高い塚に登り敵を望見したとき、安は唾壺を捧げて側に侍っており、左右は皆前方を注視していた。突然武士が矛を持ってまっすぐ太祖に向かってきたが、誰も防ぐことができなかった。安は壺を地に置き、弓を引いてこれを射ると、一発で倒した。ゆっくりと弓を弢(弓袋)に納め、また壺を捧げて立ち、顔色も変わらなかった。太祖は喜んでその背を撫でて、「お前の器量はこのようなものだ。いつか必ず富貴になるだろう」と言った。
  • 功を積んで袁州刺史に至った。南唐が禅譲を受けると、百勝軍節度使に任じられた。虔州は嶺南の地と接しており、南漢の使者が往来する際、節度使は当然もてなし労い贈り物をするべきであったが、安の名が漢主の祖の諱に触れていたので、南唐先主はそこで改めて名を賜った。昇元五年(941年)に卒した。享年七十三。