十国春秋卷六 列傳 賈公鐸

賈公鐸

  • 賈公鐸(『九国志』では「賈鐸」に作る)は上蔡の人である。はじめ秦宗権に従っていたが、その後宗権に叛して淮水を渡り、旧知の馮敬章と出会い、これに導かれて蘄州を襲い破り、敬章を推して帥とした。公鐸自らは牙将となり、城に塹壕を掘り兵を励まして自らを固めた。
  • 乾寧年間中、朱延壽が突然城下に至って蘄州を包囲した。ちょうど公鐸は狩りに出ていて戻ることができず、林中に伏兵を置いた。勇士二人に羊の皮を着せ、夜に延寿が略奪した羊の群れに紛れ込ませて密かに城に入らせ、夜半に門を開いて火を挙げて合図とする約束をした。二人はまた皮を着て復命した。公鐸は約束の刻限に城の南門に至り、門中に火が挙がると、力戦して包囲を突破して入城した。
  • 延壽は「私は常々彼が包囲を突破して出るのではと恐れていたが、今かえって包囲を突破して入ってきた。このようでは城をにわかに落とすことはできまい」と言い、そこで太祖に申し出て、軍中で公鐸と旧知の間柄にある者に誓書と金帛を持たせて説得に赴かせ、婚姻を約束させることにした。壽州団練副使の柴再用が自ら行くことを願い出て、陣に臨んでこれと語り、利害を説いた。公鐸と敬章は降を請い、太祖は敬章を左都押牙、公鐸を右監門衛将軍とした。