封神演義子牙、計を設け九公を収める(第五十六回 子牙設計收九公)
散宜生、鄧九公の陣中を訪ねる
散宜生が城を出て湯(成湯)軍の陣営を訪れる。鄧九公は敵将として一度は面会を拒むが、先行官の太鸞に勧められて招き入れる。散宜生は、捕らえた土行孫が「鄧九公から娘婿にすると許された」と語ったことを伝え、姜子牙は死刑を保留していると告げ、縁談の真偽を尋ねる。鄧九公は酒の席での軽口だったと弁明するが、散宜生に「一言は千金、世間はすでにこの話を信じている」と説かれて言葉に詰まる。傍らの太鸞が耳打ちし、鄧九公は表向き承諾する。
太鸞の計と誘き出し
太鸞は鄧九公に、姜子牙自身を納聘に呼び出し、酒宴で油断させて捕える策を授ける。太鸞が西岐城に赴き、姜子牙に「後日、土行孫を伴って自ら納聘に来るように」と伝える。子牙・懼留孫はあらかじめ罠と見抜きつつ承諾し、密かに伏兵の手はずを整える。
婚礼を装った奇襲
約束の日、子牙は少数の供回りのみを装って湯の陣営へ赴く。鄧九公らは油断し酒宴を用意するが、合図の砲声とともに子牙側の伏兵が一斉に武器を取り出して斬り込む。周軍の伏兵(雷震子・南宮适・金吒・木吒・龍鬚虎ら)が四方から呼応して突入し、湯軍は総崩れとなる。土行孫は混戦の中で鄧嬋玉を捕らえて西岐城に連れ帰る。鄧九公は敗走し、太鸞・趙昇らと岐山のふもとで敗残兵をまとめる。
土行孫と鄧嬋玉の婚儀
子牙は懼留孫と相談し、その日のうちに土行孫と鄧嬋玉を娶わせることに決める。鄧嬋玉は捕らわれの身であることに強く抵抗し、土行孫を「主君を裏切った不忠者」と罵るが、土行孫は父の酒席での約束や、姜子牙・懼留孫の取り成しを説いて翻意を促す。嬋玉はなおも拒むが、最終的に力ずくで既成事実とされ、二人は夫婦となる。
鄧嬋玉、父を説いて周に降す
翌日、夫婦は子牙に礼を述べる。嬋玉は父が敵として孤立していることを案じ、自ら父を説得したいと願い出る。子牙はこれを許し、嬋玉は岐山へ向かう。鄧九公は娘の帰還に驚き困惑するが、嬋玉は「天下の趨勢はすでに周に傾いている。父上が意地を張れば身の破滅を招くだけだ」と説き、九公はついに周への帰順を決意する。九公は嬋玉を先に西岐へ遣り、子牙は自ら軍を率いて出迎え、九公を厚遇して和解する。九公はその後、武王に拝謁する。
汜水関から朝廷への急報
汜水関の守将・韓榮は、鄧九公が娘を敵将に嫁がせたうえで周に降ったことを知り、朝歌へ急報する。上大夫・張謙がこれを摘星楼の紂王に奏上する。紂王は激怒し、群臣を集めて対策を議す。中諫大夫・飛廉は「西岐討伐を安心して任せられるのは、王の姻戚である冀州侯・蘇護しかいない」と推挙する。紂王はこれを容れ、使者に黄旄・白鉞を持たせて冀州へ発たせる。
【例外】|評語相当の講評節は原文になし|末尾は次回へ続く場面転換のため「### 評語」は立てなかった