封神演義蘇妲己、蠆盆を造り置く(第十七回 蘇妲己置造蠆盆)

琵琶精の正体露見と子牙の官職

子牙が精・気・神を練った三昧真火で妖を焼くと、火中の妖は悲鳴を上げ人語を発し、紂王は震え上がる。雷鳴とともに炎が消え、一面の玉石琵琶が現れる。妲己は内心仲間の死を嘆きつつ、表では平静を装い、この琵琶を摘星樓に置くよう願い出て、あわせて子牙を朝廷に留めるよう勧める。紂王は子牙を下大夫・司天監に任じる。子牙は異人の庄に戻り祝宴を開いた後、朝廷に出仕する。

蠆盆の考案

妲己は摘星樓上の玉石琵琶に天地の精気を吸わせ、後の禍のもととする。ある日の酒宴で、以前の姜皇后付きの宮女七十余名が涙を見せず不満げなことに妲己が気づき、謀反の疑いありと紂王に讒言。処刑しようとするところ、妲己は「蠆盆」なる新たな刑罰を提案する。摘星樓下に巨大な穴を掘り、民から徴発した毒蛇を放ち、宮女を裸にして投げ込むという酷刑である。全国に蛇の上納が命じられ、民は苦しむ。上大夫・膠鬲や武成王黄飛虎らがこの異常な命令を訝しむ。

膠鬲の諫死

蛇の上納が完了し、七十二名の宮女が蠆盆に投げ込まれようとする様を見た膠鬲は、紂王に強く諫言する。暴政により民が疲弊し、諸侯が離反し、忠臣が炮烙に処されてきた経緯を挙げ、改心を求めるが、紂王は激怒し膠鬲を捕らえるよう命じる。膠鬲は昏君を罵り、みずから摘星樓から身を投げて絶命する。紂王はさらに怒り、宮女とともに膠鬲の遺体も蠆盆に投げ込ませる。宮女たちは妲己を呪いながら毒蛇に食い殺される。

酒池肉林

妲己はさらに蠆盆の傍らに酒池・肉林を造ることを提案し、紂王はこれを喜んで許す。宴では宮人と宦官を相撲させ、敗者を撲殺して糟の中に放り込むという残虐な遊びが行われる。実は妲己はこれらの人肉を糧に妖気を養っていた。

鹿台の計と子牙への疑心

妲己は玉石琵琶精を討たれた恨みを晴らすため、子牙を陥れる策を練る。摘星樓での酒宴で、瓊楼玉宇の「鹿台」の絵図を紂王に見せ、造営を勧める。監督には陰陽に通じた子牙が適任だと奏上し、紂王は子牙を召す。子牙は自ら占って今日の凶事を予知し、比干に別れの言葉と一通の書状を託す。摘星樓に召された子牙は、鹿台の図を見て「朝歌は久しく居るべき地にあらず」と考え、諫言によって身を引く算段をする。