封神演義崑崙山より子牙、下山する(第十五回 崑崙山子牙下山)

元始天尊、姜子牙に下山を命ず

崑崙山玉虚宮の元始天尊は、門下十二弟子が紅塵の劫を逃れられぬこと、封神の期が近いことから宮を閉じ、闡教・截教・人道三派を合わせ三百六十五位の神を封じる大業に着手しようとしていた。天尊は姜尚(子牙)を呼び、三十二歳で入山し七十二歳となった今も仙道成らず、人間界で将相の福を受ける命運にあることを告げ、下山して周室を輔けるよう命じる。子牙は山に留まりたいと哀願するが、南極仙翁にも「天数には逆らえぬ、功成れば再び登山の日もある」と諭され、やむなく下山を決意する。天尊は今後の運命を示す八句の偈(磻渓での垂釣、賢君に見出され相父となり大将となること、諸侯会合と封神の時期など)を授ける。

朝歌の宋異人を頼り、馬氏と結婚す

天涯孤独の身を嘆いた子牙は、朝歌の義兄・宋異人を頼って土遁でその邸を訪れる。四十年ぶりの再会を喜んだ異人は子牙を邸に迎え、崑崙山での修行が水汲みや薪割りなど雑用ばかりだったと聞いて笑い、共に暮らしながら仕事を持つよう勧める。さらに「不孝に三あり、後継ぎ無きを大なりとす」と、縁談を持ちかける。異人は馬洪の娘(六十八歳)を紹介し、聘礼を納めて縁組をまとめ、子牙は結婚する。

商いの失敗続き

崑崙山への未練を捨てきれぬ子牙は妻馬氏との暮らしにも身が入らず、二月が過ぎて馬氏に「異人殿の世話に頼らず自活の道を立てよ」と促される。子牙は竹細工の笊籬(ざる)作りを始め朝歌で売り歩くが、一日かけても一つも売れず、肩を腫らして帰る。次に異人の勧めで小麦粉を売るが、これも売れぬまま城壁で一休みしていたところ、暴走する馬に籠を引きずられ粉をすべて撒き散らしてしまう。妻との言い争いが絶えず、異人の仲裁で酒飯店の経営を任されるも、猛暑で料理が腐り酒が酸っぱくなって全く商売にならない。続いて牛馬豚羊の商いを託されるも、折しも紂王が雨乞いのため屠殺・沽酒を禁じており、禁を犯したとして家畜をすべて没収されてしまう。

意気消沈する子牙に、宋異人は「幾らかの銀が官に入ったまでのこと、気に病むな」と慰め、後園で酒を酌み交わそうと誘う。物語はここから、子牙が後園で五路の神を祭る場面へと続いていく。