- 要旨: 呉起は、兵を治めるとは軍規と士気の統制であって数の多さではないと説き、平時の訓練・号令・行軍時の統制・馬の飼育に至るまで、組織された軍を作る具体策を論じる。
四軽・二重・一信
- 用兵の要は「四軽・二重・一信」にあるとし、地形を知れば馬が軽く走れ、飼料が時宜を得れば馬が車を軽く引け、車の手入れが行き届けば人が車を軽く扱え、武具が鋭利堅固であれば人が戦いを軽やかに行えるとする。進んでは重賞、退けば重罰を信をもって行うことが勝利の要だとする。
治まった軍こそ勝つ
- 兵の勝敗は数ではなく「治」にあるとし、法令が明らかでなく賞罰に信がなければ、鉦鼓の号令も効かず百万の兵も役に立たないとする。
- 治まった軍とは、平時に礼があり動けば威があり、進退に節度があり、散っても列をなす軍であり、これを「父子の兵」と呼ぶ。
行軍の統制と号令の徹底
- 進止の節度を守り、飲食を適切にし、人馬の力を尽くさせないことが上令に従う基盤であるとする。
- 「一人学べば十人に教え、十人学べば百人に教え……」と段階的に訓練を広げ、方向転換や集散・停止の変化をすべて習熟させてから武器を授けるべきだとする。
- 号令の具体案として、体格・性質に応じて武器や役割を割り当て(短い者は矛戟、長い者は弓弩、強い者は旌旗、勇者は金鼓、弱い者は補給、智者は謀主)、郷里ごとに組織し什伍で連帯責任を持たせ、太鼓の合図で整兵・布陣・食事・準備・出発を順に行うことを説く。
布陣の方位と天候の利用
- 三軍の進止には避けるべき地形として「天灶(大谷の入口)」と「龍頭(大山の先端)」を挙げ、四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)と招搖を配して布陣すべきとする。
- 戦の際は風向きを見極め、順風なら鬨の声を上げて進み、逆風なら陣を固めて待つべきだとする。
馬の飼育と管理
- 馬は住環境・水草・飢飽の管理が要であり、冬は温かい厩、夏は涼しい廡、毛の手入れを怠らず、驚かせず、馴致してから使うべきとする。
- 馬の損耗は多くが行軍の終盤や過労・過食に起因するとし、日暮れて道が長い時ほどこまめに乗り降りして人が労を負い、馬を労わるべきだと説く。常に余力を残しておくことで、敵の不意打ちにも対処できるとする。