元史卷一百九十四 列傳第八十一 韓因

韓因(字可宗)

  • 韓因は字を可宗、汴梁の人。若くして挙子業を習い気を負って群れなかった。盗が汝寧に拠り官軍がこれを討ったが久しく下らなかった。折しも朝廷が叛逆を赦す詔を出し、詔を持って賊中に入れる者を募り、入った者にはすぐに官を借すこととした。因はこれに応じ、唐州判官を借りて使わされた。賊の渠魁はその党の心が揺らぐことを恐れ、因を城外に留め詔を受け取らず読ませず、再三詰問した。因は「恩宥は寛大であり禍福に係わることは甚だ切実だ」と答えたが聞き入れられず、因を放って帰らせ報告させた。因は出ると馬に乗り賊の屯を巡り大声で「お前たちは善良な百姓であったはずなのに、なぜ田里に降り帰らず甘んじて逆賊に駆使されているのか」と言った。衆は愕然として顔を見合わせ、ある者がこれを賊の渠魁に告げた。渠は因を追って発言の内容を問い詰め、因は口を極めて罵り続けたので、賊は怒り因を寸刻みに割いた。