元史卷五十七 志第九 厯六 庚午元厯下

歩交會術(日食・月食の計算)

【基本数】交終分:十四万二百三十一(秒九千三百六十、微二十)。交終日:二十七(餘千百九、秒九千三百六十、微二十)。交中日:十三(餘三千百六十九、秒四千六百五十三、微十)。交朔日:二(餘千六百六十五、秒六百九十三、微八十)。交望日:十四(餘四千二、秒五十)。秒母:一万。微母:百。交終度:三百六十三(分七十九、秒三十六)。交中度:百八十一(分八十九、秒六十八)。交象度:九十(分九十四、秒八十四)。半交象度:四十五(分四十七、秒四十二)。日食既前限:二千四百(定法二百四十八)。日食既後限:三千百(定法三百二十)。月限:五千百。月食既限:千七百(定法三百四十)。分秒母:皆百。

  • 求朔望入交:天正朔積分を交終分で割った残りを日法で除し、天正十一月中朔入交汎日及び餘秒を得、交朔・交望を加えて次の朔望入交汎日及び餘秒を求める(里差がある地は先に加減する)。
  • 求定朔及每日夜半入交:入交汎日から中朔望小餘を減じ定朔望夜半入交とし、大小の月に応じて日数を加え、毎日累加して毎日夜半入交汎日を得る。
  • 求定朔加時入交:中朔望加時入交汎日に入氣入轉朓朒定數を朓朒加減し、定朔望加時入交汎日を得る。
  • 求定朔望加時入交積度及隂陽厯:定朔望加時入交汎日から換算した度に入轉遲疾度を加減し、月行入定交積度を得る。交中度以下は入陽暦積度、以上は入陰暦積度とする。
  • 求月去黄道度:入陰陽暦積度が交象以下なら少象、以上なら交中から減じて老象とし、所入老少象度と交象との差から月去黄道度及び分を求める。
  • 求朔望加時入交常日及定日:朔望入交汎日に入氣朓朒定數を朓減朒加して入交常日とし、さらに入轉朓朒定數により入交定日及び餘秒を得る。
  • 求入交陰陽厯交前後分:入交定日が交中以下なら陽暦、以上なら陰暦とし、交前分・交後分を求める。
  • 求日月食甚定餘:朔望入氣入轉朓朒定數を用いて汎餘を求め、日食は中前後の時差、月食は酉前後・卯前後の分により、食甚の定餘(食甚辰刻)を得る。
  • 求日月食甚日行積度:朔望食甚大小餘と中朔大小餘の差から食甚入氣・食甚中積を求め、盈縮積を加減して食甚日行積度及び分を得る。
  • 求氣差:日食食甚日行積度から初限・末限を求め、気差恒数を算出し、午前後分により定数とする(春分後・秋分後で陽暦・陰暦の加減が入れ替わる)。
  • 求刻差:同様に日行積度から刻差恒数を求め、午前後分・冬至夏至の別により定数とする。
  • 求日食去交前後定分:氣差・刻差の定数(食差)を交前後分に加減し、去交前後定分を求める。この定分が陽暦にあれば不食、陰暦にあれば食があるとする。
  • 求日食分:去交前後定分の大小により既前分・既後分を判定し、定法で割って日食の分秒を得る(一分以下は太陽の光が盛んで見えないことがある)。
  • 求月食分:去交前後分(気差・刻差を用いない)から食既・分秒を求める。
  • 求日食定用分:日食の大分と三十分との差から定用分を求め、食甚定餘に加減して日食三限(初虧・食甚・復圓)の辰刻を得る。
  • 求月食定用分:月食の大分と三十五分との差から定用分を求め、既内分・既外分を分けて月食五限(初虧・食既・食甚・生光・復圓)の辰刻を得る。
  • 求月食所入更點:食甚の晨分から更法・點法を求め、月食の初虧等の各限がどの更點に当たるかを求める。
  • 求日食所起:食既前は西南に始まり正南で最も深く東南で終わる、食既後は西北に始まり正北で最も深く東北で終わる。食八分以上は正西に始まり正東で終わる(正午の地を基準とする)。
  • 求月食所起:陽暦なら東北に始まり正北で最も深く西北で終わる、陰暦なら東南に始まり正南で最も深く西南で終わる。食八分以上は正東に始まり正西で終わる(同じく正午の地を基準とする)。
  • 求日月出入帶食所見分數:食甚小餘と日出入分の差(帶食差)から、出入時に見える食分を求める。
  • 求日月食甚宿次:日月食甚日行積度に天正冬至加時黄道日度を加え、食甚宿度及び分秒を得る。

歩五星術(五星の運行を求める算法)

※庚午元暦の五星術は木星・火星・金星・水星の順に記され、土星の段目・策数の表は底本の該当箇所に見当たらない(版面欠落の可能性がある)。

木星

  • 周率:二百八万六千百四十二(秒九)。厯率:二千二百六十五万五百五十七。厯度法:六万二千十四。周日:三百九十八日八十八分。厯度:三百六十五度二十四分九十秒。厯中:百八十二度六十二分四十五秒。厯策:十五度二十一分八十七秒。伏見:十三度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 十六日(八十六/) 三度(八十六/) 二度(九十三/) 二十三
晨順疾 二十八日 六度(十一/) 四度(六十四/) 二十二
晨次疾 二十八日 五度(五十一/) 四度(十九/) 二十一
晨順遲 二十八日 四度(三十一/) 三度(二十八/) 十八
晨末遲 二十八日 一度(九十一/) 一度(四十五/) 十二
晨留 二十四日
晨退 四十六日(五十八/) 四度(八十八/十八) 空度(三十二/八十二)
夕退 四十六日(五十八/) 四度(八十八/十八) 空度(三十二/八十二) 十六
夕留 二十四日
夕末遲 二十八日 一度(九十一/) 一度(四十五/)
夕順遲 二十八日 四度(三十一/) 三度(二十八/) 十二
夕次疾 二十八日 五度(五十一/) 四度(十九/) 十八
夕順疾 二十八日 六度(十一/) 四度(六十四/) 二十一
夕伏 十六日(八十六/六十) 三度(八十六/) 二度(九十三/) 二十二

盈縮の策數表(策數・損益率・盈積度/損益率・縮積度):一(益百五十九/初、益百五十九/初)、二(益百四十二/一度五十九、益百四十二/一度五十九)、三(益百二十/三度十、益百二十/三度十)、四(益九十三/四度二十一、益九十三/四度二十一)、五(益六十一/五度十四、益六十一/五度十四)、六(益二十四/五度七十五、益二十四/五度七十五)、七(損二十四/五度九十九、損二十四/五度九十九)、八(損六十一/五度七十五、損六十一/五度七十五)、九(損九十三/四度十四、損九十三/五度十四)、十(損百二十/四度二十一、損百二十/四度二十一)、十一(損百四十二/三度十、損百四十二/三度十)、十二(損百五十九/一度五十九、損百五十九/一度五十九)。

火星

  • 周率:四百七万九千四十二(秒十四半)。厯率:三百五十九万二千七百五十七(秒四十四少)。厯度法:九千八百三十六半。周日:七百七十九日九十三分十六秒。厯度:三百六十五度二十四分七十五秒。厯中:百八十二度六十二分三十七秒半。厯策:十五度二十一分八十六秒。伏見:十九度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 六十七日 四十八度 四十五度(四十八/) 七十二
晨順疾 六十三日 四十四度(六十/) 四十二度(二十六/) 七十二
晨次疾 五十八日 四十度(十九/) 三十七度(九十九/) 七十
晨中疾 五十二日 三十四度 三十二度(三十二/) 六十八
晨末疾 四十五日 二十六度(三十二/) 二十四度(九十九/) 六十三
晨順遲 三十七日 十六度(六十八/) 十五度(八十/) 五十四
晨末遲 二十八日 五度(七十五/) 五度(四十五/) 三十七
晨留 十一日
晨退 二十八日(九十六/五十八) 八度(十五/六十) 三度(四十/)
夕退 二十八日(九十六/五十八) 八度(十五/六十) 三度(〇五/四十) 四十一
(夕留以降の一部段目は底本の版面欠落により数値の記載がない)
晨順疾 二十七日(五十/) 三度(二十二/) 二度 十二
晨次疾 二十七日(五十/) 二度(六十四/) 一度(六十五/) 十一
晨遲 二十七日(五十/) 一度(四十八/) 空度(九十二/)
晨留 三十六日
晨退 五十一日(六十一/五) 三度(三十九/六十六) 空度(二十八/二十三)
夕退 五十一日(六十一/五) 三度(三十九/六十六) 空度(二十八/三十三) 九(七十五/)
夕留 三十六日
夕遲 二十七日(五十/) 一度(四十八/) 空度(九十二/)
夕次疾 二十七日(五十/) 二度(六十四/) 一度(六十五/)
夕順疾 二十七日(五十/) 三度(二十三/) 三度(三/) 十一
夕伏 十九日(四十八/) 四度(四十八/) 一度(五十六/) 十二

盈縮の策數表:一(益二百十三/初、益百六十三/初)、二(益百九十七/二度十三、益百四十八/一度六十三)、三(益百六十八/四度十、益百二十八/三度十三)、四(益百二十八/五度七十八、益百/四度四十)、五(益八十一/七度六十、益六十五/五度四十)、六(益三十三/七度八十七、益二十三/六度五十)、七(損三十三/八度二十二、損二十三/六度二十八)、八(損八十一/七度八十二、損六十五/六度五十)、九(損百二十八/七度六十、損百/五度四十)、十(損百六十八/五度七十八、損百二十八/四度四十)、十一(損百九十七/四度十、損百四十九/三度十二)、十二(損二百十三/二度十三、損百六十三/一度六十三)。

金星

  • 周率:三百五万三千八百四(秒六十三太)。厯率:百九十一万二百四十(秒七十六半)。厯度法:五千二百三十。周日:五百八十三日九十分十四秒。合日:二百九十一日九十五分七秒。厯度:三百六十五度二十四分六十八秒。厯中:百八十二度六十二分三十四秒。厯策:十五度二十一分八十六秒。
  • (段目表の大半・策數表の前半は底本の該当ページが版面欠落のため数値の記載がない。策數表の末尾のみ残る:十(損四十一半/一度四十一半、損四十一半/一度四十一半)、十一(損四十八/一度、損四十八/一度)、十二(損五十二/空度五十二、損五十二/空度五十二)。)

水星

  • 周率:六十万六千三十一(秒七十七半)。厯率:百九十一万二百四十二(秒十三半)。厯度法:五千二百三十。周日:百十五日八十七分六十秒。合日:五十七日九十三分八十秒。厯度:三百六十五度二十四分七十秒。厯中:百八十二度六十二分三十五秒。厯策:十五度二十一分八十五秒。晨伏夕見:十四度。夕伏晨見:十九度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 十五日 二十九度 二十四度(三十六/) 二百五
夕順疾 十五日 二十三度(七十五/) 十九度(九十五/) 百八十一
夕順遲 十五日 十三度(二十五/) 十一度(十三/) 百三十五
夕留 二日
夕退伏 十日(九十三/八十) 八度(〇六/二十) 二度(四十九/八十)
合退伏 十日(九十三/八十) 八度(〇六/二十) 二度(四十九/八十) 百八
晨留 二日
晨順遲 十五日 十三度(二十五/) 十一度(十三/)
晨順疾 十五日 二十三度(七十五/) 十九度(九十五/) 百二十五
晨伏 十五日 二十九度 二十四度(三十六/) 百八十一

盈縮の策數表:一(益五十七/初、益五十七/初)、二(益五十三/空度五十七、益五十三/空度五十七)、三(益四十五/一度十、益四十五/一度十)、四(益三十五/一度五十五、益三十五/一度五十五)、五(益二十二/一度九十、益二十二/一度九十)、六(益八/二度十二、益八/二度十二)、七(損八/二度二十、損八/二度二十)、八(損二十二/二度十二、損二十二/二度十二)、九(損三十五/一度九十、損三十五/一度九十)、十(損四十五/一度五十五、損四十五/一度五十五)、十一(損五十三/一度十、損五十三/一度十)、十二(損五十七/空度五十七、損五十七/空度五十七)。

五星共通の算式

  • 求五星天正冬至後平合及諸段中積中星:通積分(里差を加減)を各星の周率で割り、前合分・後合分から天正冬至後平合中積中星を求め、段日・平度を累加して諸段中積・中星を得る。
  • 求五星平合及諸段入厯:通積分に後合分を加え厯率で割り、厯度法で除して平合入暦度を求め、諸段限度を累加して諸段入暦度を得る。
  • 求五星平合及諸段盈縮定差:入暦度が厯中以下なら盈、以上なら縮とし、厯策で割った策數と損益率から盈縮定差を求める。
  • 求五星平合及諸段定積:段中積に盈縮定差を加減し、天正冬至大餘を加えて定積日及び日辰を得る。
  • 求五星平合及諸段所在月日:定積に天正閏日を加え朔策で割り、入月中朔日数及び所在の定朔月日を得る。
  • 求五星平合及諸段加時定星:中星に盈縮定差を加減(金星は倍、水星は三倍)し、天正冬至加時黄道日度を加えて加時所在宿度を得る。
  • 求五星諸段初日晨前夜半定星:初行率と定積日下の加時分から、段初日晨前夜半定星の宿度を求める。
  • 求諸段日率度率:前後段の日辰の差を日率、夜半宿次の差を度率とする。
  • 求諸段平行分:度率を日率で除して平行度及び分秒を得る。
  • 求諸段總差及日差:前後の平行分の差(汎差)から増減差・総差・日差を求める。
  • 求前後伏遲退段增減差:伏・遲・退の各段について前後段の行分から増減差を求める(木火土三星の退行は平行分の六因退一位、金星の伏退は平行分の三因半退位、水星は平行分そのものを増減差とする)。
  • 求每日晨前夜半星行宿次:段初日行分を日差で損益し、毎日の晨前夜半星行宿次を求める。
  • 求五星平合及見伏入氣:定積を氣策で割り、平合及び見伏の入氣日及び分秒を得る。
  • 求五星平合及見伏行差:段初日の星行分と太陽行分の差(金の退行・水の退合は和)を行差とする。
  • 求五星定合及見伏汎積:木火土三星は平合晨疾夕伏定積をそのまま汎積とし、金水二星は盈縮定差を行差で除して汎積を加減する。
  • 求五星定合定積定星:木火土三星は行差で太陽盈縮差を除し距合差日・距合差度を求めて定合定積定星を得る。金水二星は順合・退合の別により同様の手順で定合(再定合)の日辰・所在宿次を得る。
  • 求木火土三星定見伏定日:定見伏汎積・伏見度・行差から差日を求め、汎積を加減して定見伏の日辰を得る。
  • 求金水二星定見伏定日:伏見日行差・太陽盈縮差から常積・定積を求め、定見伏の日晨を得る。
  • 水星の夕疾は大暑気の初日から立冬気の九日三十五分以下では見えず、晨留は大寒気の初日から立夏気の九日三十五分以下では見えない。春に晨見せず秋に夕見しないこともあり、旧暦にも同様の記載がある。