元史卷五十六 志第八 厯五 庚午元厯上
演紀上元庚午は太宗庚辰の年より二千二十七万五千二百七十算を距てる(積年)。上って古を考える場合は毎年一算を減じ、下って将来を験する場合は毎年一算を加える。
歩氣朔術
【基本数】日法:五千二百三十。嵗實:百九十一万二百二十四。通餘:二万七千四百二十四。朔實:十五万四千四百四十五。通閏:五万六千八百八十四。嵗策:三百六十五(餘千二百七十四)。朔策:二十九(餘二千七百七十五)。氣策:十五(餘千百四十二、秒六十)。望策:十四(餘四千二、秒四十五)。象策:七(餘二千一、秒二十二半)。沒限:四千八十七(秒三十)。朔虚分:二千四百五十五。旬周:三十一万三千八百。紀法:六十。秒母:九十。
- 求天正冬至:上元庚午以来の積年に嵗實を乗じて通積分とし、旬周で割った余りを日法で割って天正冬至の大小餘を得る(東西の里差がある地は先に通積分を加減する)。
- 求次氣:天正冬至の大小餘に氣策及び餘を累加し、次の氣の日及び餘分秒を得る。
- 求天正經朔:通積分を朔實で割った残りを閏餘とし、通積分から閏餘を減じて朔積分とする。旬周で割り、日法で割って天正經朔の大小餘を得る。
- 求弦望及次朔:天正經朔の大小餘に象策を累加し、弦望及び次朔の經日・餘秒を得る。
- 求沒日:有沒の氣(恒氣小餘が沒限以上)について、秒母を乗じ四十七万七千五百五十六を減じ六千八百五十六で割った値を恒氣大餘に加えて沒日を得る。
- 求滅日:有滅の朔(經朔小餘が朔虚分に満たないもの)の小餘を六因し四百九十一で割った値を經朔大餘に加えて滅日を得る。
歩卦候發斂術
【基本数】候策:五(餘三百八十、秒八十)。卦策:六(餘四百五十七、秒六)。貞策:三(餘二百二十八、秒四十八)。秒母:九十。辰法:二千六百十五。半辰法:千三百七半。刻法:三百十三(秒八十)。辰刻:八(分百四、秒六十)。半辰刻:四(分五十二、秒三十)。秒母:百。
- 求七十二候:節氣の大小餘を初候とし、候策を累加して次候・末候を得る。
- 求六十四卦:中氣の大小餘を公卦とし、卦策を累加して辟卦を得、さらに加えて内卦、貞策を加えて節氣の初の侯外卦、さらに貞策を加えて大夫卦、卦策を加えて卿卦を得る。
- 求土王用事:四季の中氣の大小餘から貞策を減じて土王用事日を得る。
- 求發斂:小餘を六因し辰法で割って辰數、残りを刻法で割って刻を得、加時の辰刻分とする。
- 求二十四氣卦候:二十四節気ごとの候・卦を一覧にした表があるが、底本は該当ページの版面が欠落しており数値の記載がない。
歩日躔術(太陽の運行)
【基本数】周天分:百九十一万二百九十二(秒九十八)。嵗差:六十八(秒母百)。周天度:三百六十五(分二十五、秒六十七)。象限:九十一(分三十一、秒九、分秒母百)。
- 「二十四氣日積度盈縮」の表(恒氣日積度・損益率・初末率・日差・盈縮積の各欄)は、底本の該当ページが版面欠落のため数値の記載がない。
- 「二十四氣中積及朓朒」の表も同様に底本の該当ページに数値の記載がない。
- 求毎日盈縮朓朒:其の氣の損益率を六因し象限で割って中率とし、前後の氣の中率の差(合差)から初末汎率・初末定率・日差を求め、毎日の損益分を累加して毎日の盈縮朓朒を得る。
- 求經朔弦望入氣:天正閏餘を日法で除し、氣策との大小により入氣日及び餘を求め、象策を累加して弦望・後朔の入氣日及び餘を得る。
- 求每日損益盈縮朓朒:日差でその氣初の損益率を損益し、毎日の損益率・盈縮朓朒積を求める。
- 求經朔弦望入氣朓朒定數:入氣小餘にその日の損益率を乗じ日法で割った値で朓朒積を損益し、定數を得る。
【赤道宿度】 - 北方七宿(合計九十四度六十七秒):斗二十五、牛七少、女十一少、虚九少(六十七秒)、危十五半、室十七、壁八太。 - 西方七宿(合計八十三度):奎十六半、婁十二、胃十五、昴十一少、畢十七少、觜半、參十半。 - 南方七宿(合計百九度少):井三十三少、鬼二半、栁十三太、星六太、張十七少、翼十八、軫十七。 - 東方七宿(合計七十九度):角十二、亢九少、氐十六、房五太、心六少、尾十九少、箕十半。
- 求冬至赤道日度:通積分を周天分で割った残りを日法で除し、赤道虚宿六度から起算してその年の天正冬至加時日躔赤道宿度及び分秒を得る(塔什干より東西の地は先に里差を加減する)。
- 求春分夏至秋分赤道日度:天正冬至加時赤道日度に象限を累加し、春分・夏至・秋分の加時日在宿度及び分秒を得る。
- 求四正赤道宿積度:四正(二至二分)の赤道宿全度から四正赤道日度を減じ、距後度とし、赤道宿度を累加して四正後赤道宿度を得る。
- 求赤道宿積度入初限:四正後赤道宿積度が四十五度六十五分五十四秒半以下なら初限、以上なら象限から減じて末限とする。
- 求二十八宿黄道度:四正後赤道宿の入初末限度から百一度を減じ、初末限度を乗じて黄道積度を求め、前宿の黄道積度を減じてその宿の黄道度及び分を得る。
【黄道宿度】 - 北方七宿(合計九十四度六十七秒):斗二十三、牛七、女十一、虚九少(六十七秒)、危十六、室十八少、壁九半。 - 西方七宿(合計八十三度太):奎十七太、婁十二太、胃十五半、昴十二、畢十六半、觜半、參九太。 - 南方七宿(合計百九度少):井三十半、鬼二半、栁十三少、星六太、張十七太、翼二十、軫十八半。 - 東方七宿(合計七十八度少):角十三太、亢九太、氐十六少、房五太、心六、尾十八少、箕九半。 - (この黄道宿度は今暦の嵗差の位置により算定したもので、上って古を考え下って将来を験するには、嵗差ごとに当時の宿度を推し変えて七曜の所在を求める必要がある。)
- 求天正冬至加時黄道日度:冬至加時赤道日度から百一度を減じ、赤道日度を乗じて黄赤道差を得、赤道日度から減じてその年の天正冬至加時黄道日度を得る。
- 求二十四氣加時黄道日度:所求年の冬至と次年の黄赤道差の差に氣數を乗じ、氣中積度・盈縮數を加減し、冬至加時黄道日度に加えてその氣の加時黄道日躔宿度を得る。
- 求二十四氣及每日晨前夜半黄道日度:恒氣小餘にその氣初日の損益率を乗じて損益し、その氣初日晨前夜半黄道日度を求め、毎日一度を加えて損益数を加減し、毎日晨前夜半黄道日度を得る。
- 求每日午中黄道日度:一万分に入氣日損益數を加減し半にして、晨前夜半黄道日度に加え、午中日躔黄道宿度を得る。
- 求每日午中黄道積度:二至加時黄道日度と所求日午中黄道日度の距りから、二至後黄道日積度を得る。
- 求每日午中黄道入初末限:二至後黄道積度が四十三度十二分八十七秒以下なら初限、以上は象限から減じて末限とする(二分後は四十八度十八分二十一秒を基準に同様)。
- 求每日午中赤道日度:黄道積度を用いた開平方の算式により、初限・末限それぞれ二至・二分の赤道日度を基準に、毎日午中赤道日度を求める。
【太陽黄道十二次入宮宿度】(宮に入る宿度と、対応する分野・辰) - 危:十三度三十九分五十九秒外、衛分陬訾の次、辰は亥。 - 奎:二度三十五分八十五秒外、魯分降婁の次、辰は戌。 - 胃:四度二十四分三十三秒外、趙分大梁の次、辰は酉。 - 畢:七度九十六分六秒外、晉分實沈の次、辰は申。 - 井:九度四十七分十秒外、秦分鶉首の次、辰は未。 - 栁:四度九十五分二十六秒外、周分鶉火の次、辰は午。 - 張:十五度五十六分三十五秒外、楚分鶉尾の次、辰は巳。 - 軫:十度四十四分五秒外、鄭分夀星の次、辰は辰。 - 氐:一度七十七分七十七秒外、宋分大火の次、辰は卯。 - 尾:三度九十七分七十二秒外、燕分析木の次、辰は寅。 - 斗:四度三十六分六十六秒外、吴越分星紀の次、辰は丑。 - 女:二度九十一分九十一秒外、齊分玄枵の次、辰は子。
- 求入宫時刻:入宮宿度からその日晨前夜半日度を減じ、日法・太陽行分により入宮の時刻及び分秒を得る。
歩晷漏術(日影・漏刻)
【基本数】中限:百八十二日六十二分十八秒。冬至初限夏至末限:六十二日二十分。夏至初限冬至末限:百二十日四十二分。冬至永安晷影常數:一丈二尺八寸三分。夏至永安晷影常數:一尺五寸六分。周法:千四百二十八。内外法:一万八百九十六。半法:二千六百十五。日法四分之三:三千九百二十三半。日法四分之一:千三百七半。昬明分:百三十分七十五秒。昬明刻:二刻百五十六分九十秒。刻法:三百十三分八十秒。秒母:百。
- 求午中入氣中積:所求日の大餘・半法から所入氣の大小餘を減じてその日の午中入氣を求め、氣中積を加えてその日午中中積を得る。
- 求二至後午中入初末限:午中中積が中限以下なら冬至後、以上なら夏至後とし、初限・末限を定める。
- 求午中晷影定數:冬至後初限(夏至後末限)の日内分を自乗し、一定の算式により冬至の地中晷影常數から求晷影定數を得る(夏至後初限・冬至後末限は別の算式により夏至の地中晷影常數に加える)。
- 求四方所在晷影:各地で実測した冬夏二至の晷數の差(その処の二至晷差)と地中の二至晷差との比により、所求日その地の晷影定數を求める。
「二十四氣陟降及日出分」の表は、底本の該当ページが版面欠落のため数値の記載がない。
【二分前後陟降率】(春分前三日は太陽が赤道内に入り、秋分後三日は太陽が赤道外に出るため、この前後の陟降率は他の日と異なり別に数値を立てて用いる) - 驚蟄十二日:陟四(六十七/十六)。これを末率としこれで用い終える。 - 十三日:陟四(四十一/六)。十四日:陟四(三十八/九十)。十五日:陟四。 - 秋分初日:降四(三十八)。一日:降四(二十九)。二日:降四(五十九)。三日:降四(六十八)。これを初率としこれより用い始める。
- 求毎日日出入晨昬半晝分:陟降初率をその氣初日の日出分に陟減降加し、毎日の陟降率を累積して毎日の日出分を求め、日法から減じて日入分、半にして半晝分、昬明分を加減して晨分・昬分を得る。
- 求日出入辰刻:日出入分を六因し辰法・刻法で割って辰刻を得る。
- 求晝夜刻:日出分を十二乗し刻法で割って夜刻とし、百から減じて晝刻を得る。
- 求更點率:晨分を四因し退位して更率、更率を二因し退位して點率とする。
- 求更點所在辰刻:更點率に更點數を乗じ六因し更籌刻を加え、辰法・刻法で割って辰刻を得る。
- 求四方所在漏刻:各地で実測した冬至・夏至の夜刻と五十刻との差(至差刻)と、黄道去赤道内外度から、所求日その地の夜刻・晝刻を求める。
- 求黄道内外度:日出分と日法四分之一との大小により内外分を定め、千を乗じ内外法で割って黄道去赤道内外度を得、象限で内減外加して黄道去極度を得る。
- 求距中度及更差度:半法から晨分を減じ距中分とし、百を乗じ周法で割って距中度を得、百八十三度十二分八十三秒半を減じ四因退位して毎更差度を得る。
- 求昬明五更中星:距中度にその日午中赤道日度を加えて昬中星の宿次を得、初更中星とし、更差度を累加して逐更及び明中星を得る。
歩月離術(月の運行)
【基本数】轉終分:十四万四千百十(秒六千二十、微六十)。轉終日:二十七(餘二千九百、秒六十二十、微六十)。轉中日:十三(餘四千六十五、秒三千十、微三十)。朔差日:一(餘五千百四、秒三千九百七十九、微四十)。象策:七(餘二千一、秒二千五百、秒母一万)。微母:百。上弦度:九十一(分三十一、秒四十一太)。望度:百八十三(分六十二、秒八十三半)。下弦度:二百七十三(分九十四、秒二十五少)。月平行度:十三(分三十六、秒八十七半、分秒母百)。 - 七日:初數四千六百四十八、末數五百八十二。十四日:初數四千六十五、末數千百六十五。二十一日:初數三千四百八十三、末數千七百四十七。二十八日:初數二千九百一。
- 求經朔弦望入轉:天正朔積分を轉終分及び秒で割った残りを日法で割り、天正十一月經朔入轉日及び餘秒を得、象策を累加して弦望經日入轉及び餘秒を、朔差を加えて次朔入轉を得る(里差を加減して中朔弦望入轉とする)。
- 「求轉定分及積度朓朒」の表は、底本の該当ページが版面欠落のため数値の記載がない。
- 求中朔弦望入轉朓朒定數:入轉小餘に損益率を乗じ日法で割った値で朓朒積を損益し、定數を得る(七・十四・二十一・二十八日の各節目では上記の初數・末數を用いた別算式による)。
- 求朔弦望中目:塔什干城を基準に、地の相去る里数に四千三百五十九を乗じて里差を得、經朔弦望小餘を加減して中朔弦望日及び餘を得る(東は加え、西は減じる)。
- 求朔弦望定日:中朔弦望小餘に入氣入轉朓朒定數を朓減朒加し、大餘を進退して定朔弦望日辰及び餘を得る。定朔の干名が前朔と同じ月は大の月、異なる月は小の月とし、中氣を持たない月を閏月とする。秋分後・春分後の日出分に応じて進退・退一日の判定を行い、望が十七日となる場合は朔・望それぞれの小餘の多少を比較して進退を調整する。
- 求定朔弦望中積:定朔弦望小餘と中朔弦望小餘の差を經朔弦望入氣日餘に加減して定朔弦望入氣を求め、氣中積を加えて定朔弦望中積を得る。
- 求定朔弦望加時日度:定朔弦望約餘に入氣日損益率を乗じ盈縮積を損益し、定朔弦望中積に加減、冬至加時日躔黄道宿度を加えて加時日所在度分秒を得る(別法として夜半日度を用いる算式も示される)。
- 求定朔弦望加時月度:合朔の加時は日月同度のため、定朔加時黄道日度がそのまま定朔加時黄道月度となる。弦望はそれぞれ弦望度を加えて定朔弦望加時黄道月度を得る。
- 求夜半午中入轉:中朔入轉から中朔餘を減じて中朔夜半入轉を求め、中朔小餘と半法の差を加減して中朔午中入轉を得、毎日累加して夜半午中入轉を得る。
- 求加時及夜半月度:その日入轉の轉定分に定朔弦望小餘を乗じ日法で割って加時轉分を求め、定朔弦望加時月度から減じ、順次累加して毎日夜半月度を得る。
- 求晨昬月度:その日の晨分・轉定分から晨轉分・昬轉分を求め、朔望定小餘による加時分と比較して晨昬月度を得る。
- 求朔弦望晨昬定程:朔・上弦・望・下弦それぞれの昬定月・晨定月の差から、朔後昬定程・上弦後昬定程・望後晨定程・下弦後晨定程を得る。
- 求每日轉定度:程に相距る日と轉積度の差から日差を求め、毎日轉分を加減して轉定度を得、朔弦望晨昬月に累加して毎日晨昬月度を得る。
- 求平交日辰:轉終日及び餘秒からその月經朔加時入交汎日及び餘秒を減じ、中朔大小餘に加えて平交日辰及び餘秒を得る。
- 求平交入轉朓朒定數:平交小餘のその日夜半入轉餘に損益率を乗じ日法で割って朓朒積を損益し、定數を得る。
- 求正交日辰:平交小餘を平交入轉朓朒定數で朓減朒加し、日辰を進退して正交日辰及び餘秒を得る。
- 求中朔加時中積:その月中朔加時入氣日及び餘を氣中積に加え、その月中朔加時中積度及び分秒を得る。
- 求正交加時黄道月度:平交入中朔加時後日算及び餘秒から換算した度を中朔加時中積に加え、冬至加時黄道日度を加えてその月正交加時月離黄道宿度及び分秒を得る(次交は交中度を加える)。
- 求黄道宿積度:正交加時黄道宿全度から正交加時月離黄道宿度を減じて距後度とし、赤道宿度を累加して正交後黄道宿積度を得る。
- 求黄道宿積度入初末限:黄道宿積度が交象度以下なら半交象以下は初限、以上は交象度から減じて末限とする。
- 求月行九道宿度:月の運行する道は、冬至陰暦・夏至陽暦に入れば青道、冬至陽暦・夏至陰暦に入れば白道、春分陽暦・秋分陰暦に入れば朱道、春分陰暦・秋分陽暦に入れば黒道となる(四時を八節に分け、陰陽の交わる所は皆黄道と会するため月行に九道がある)。各道は入初末限度から百一度を減じ、初末限度を乗じて月道と黄道の汎差を求め、正交の同名・異名により月道と赤道の定差を求めて九道宿積度・九道度を得る。
- 求正交加時月離九道宿度:正交加時黄道日度・正交度から月道と黄道の汎差、月道と赤道の定差を求め、正交加時黄道月度に加減して正交加時月離九道宿度を得る。
- 求定朔弦望加時月所在度:定朔加時日躔黄道宿次(合朔の加時は月が日と同度)に弦望度を加え、定朔弦望加時月所在黄道宿度及び分秒を得る。
- 求定朔弦望加時九道月度:定朔弦望加時月離黄道宿度に前宿正交後黄道積度を加えて正交後黄道積度とし、九道積度を求めて前宿九道積度を減じ、定朔弦望加時九道月離宿度及び分秒を得る。