元史卷五十五 志第七 厯四 授時厯經下

歩中星第五(星の位置・昼夜の長さを求める算法)

  • 大都(元の都)の北極出地:四十度太強。
  • 冬至去極:百十五度二十一分七十三秒。夏至去極:六十七度四十一分十三秒。
  • 冬至昼・夏至夜:三千八百十五分九十二秒。夏至昼・冬至夜:六千百八十四分八秒。
  • 昏明分:二百五十分。
  • 以下、黄道の赤道に対する内外去極度・冬至前後夏至前後の去極度・冬夏の昼夜の長さの差を月ごとに一覧にした表(黄道積度・内外度・内外差・冬至前後去極・夏至前後去極・冬晝夏夜・夏晝冬夜・晝夜差の各欄)が続くが、底本では版面の欠落により数値欄が空白(該当ページに数値の記載なし)となっている。
  • 続いて、日々の黄道去極度・昼夜の長さ・時刻の目盛りを求める算式群が列挙される。いずれも先に定めた限度・差率を用いた比例計算の連鎖で、内容は次のとおり。
  • 求毎日黄道出入赤道内外去極度:所求日の晨前夜半黄道積度から、その日の黄道去極度及び分秒を求める。
  • 求毎日半晝夜及日出入晨昏分:入初末限の積度から、その日の半昼夜分・日の出入分・晨分・昏分を求める。
  • 求晝夜刻及日出入辰刻:半夜分から昼夜の刻数、日の出入の辰刻を求める。
  • 求更點率:晨分から更率・點率を求める。
  • 求更點所在辰刻:更點の数と更點率・昏分から、その更點の辰刻を求める。
  • 求距中度及更差度:半日周と晨分から距中度を求め、これを用いて更差度及び分を得る。
  • 求昏明五更中星:距中度と天正冬至の赤道日度から昏中星を得て、更差度を累加して各更・暁の中星宿度及び分秒を求める(諸率は晷漏で推した値と相符する)。
  • 求九服所在漏刻:各地で儀器または漏刻により実測した冬至・夏至の夜刻から至差刻を求め、黄道去赤道内外度に応じてその地の夜刻・昼刻を算出する。

歩交會第六(日食・月食の計算)

【交食の基本数】 - 交終分:二十七万二千百二十二分二十四秒。交終:二十七日二千百二十二分二十四秒。交中:十三日六千六十一分十二秒。交差:二日三千百八十三分六十九秒。交望:十四日七千六百五十二分九十六秒半。交應:二十六万百八十七分八十六秒。 - 交終度:三百六十三度七十九分三十四秒。交中度:百八十一度八十九分六十七秒。正交:三百五十七度六十四分。中交:百八十八度五分。 - 日食陽暦限:六度(定法六十)。陰暦限:八度(定法八十)。月食限:十三度五分(定法八十七)。

【算式の一覧(各項は所定の入力値から食に関わる数値を求める手順)】 - 推天正經朔入交:中積・交應・閏餘から天正の経朔の入交汎日及び分秒を求める。 - 求次朔望入交:経朔の入交汎日に交望を累加し、次の朔望の入交汎日を得る。 - 求定朔望及毎日夜半入交:入交汎日から経朔望の小餘を減じて定朔望夜半入交とし、一日ずつ累加して毎日の夜半入交を得る。 - 求定朔望加時入交:経朔望入交に加減差を加減し、定朔望加時入交を得る。 - 求交常交定度:経朔望入交に月平行度を乗じて交常度とし、盈縮差で加減して交定度を得る。 - 求日月食甚定分:定朔分・定望分から中前後の時差を求め、加減して食甚定分(及び距午定分)を得る。 - 求日月食甚入盈縮暦及日行定度:経朔望の入盈縮暦に食甚の日・分を加減して、食甚入盈縮暦定度を求める。 - 求南北差:日食甚入盈縮暦定度から南北汎差を求め、距午定分により定差とする(交前後・陰陽暦・盈縮の別で加減の符号が変わる)。 - 求東西差:同様に東西汎差を求め、距午定分により定差とする(同じく交前後・陰陽暦・盈縮の別で符号が変わる)。 - 求日食正交中交限度:正交・中交度に南北差・東西差を加減し、正交中交限度を得る。 - 求日食入陰陽暦去交前後度:交定度と正交限・中交限との差から、陽暦交前度・陰暦交後度等を求める。 - 求月食入陰陽暦去交前後度:交定度と交中度との関係から、陽暦・陰暦、交前度・交後度を求める。 - 求日食分秒:去交前後度を陰陽暦食限から減じ、定法で除して日食の分秒を得る(減じきれなければ不食)。 - 求月食分秒:同様に月食の分秒を求める。 - 求日食定用及三限辰刻:食分と二十分との差の平方根から定用分を求め、食甚定分に加減して初虧・復圓の辰刻を得る。 - 求月食定用及三限五限辰刻:食分と三十分との差から定用分を求め、初虧・食既・食甚・生光・復圓の五限の辰刻を得る(月食既の場合は既内分・既外分を分けて計算する)。 - 求月食入更點:食甚の晨分から更法・點法を求め、初虧等の各限がどの更點に当たるかを求める。 - 求日食所起:食が陽暦にあれば西南に始まり正南で最も深く東南で終わる、陰暦にあれば西北に始まり正北で最も深く東北で終わる。食が八分以上なら正西に始まり正東で終わる(いずれも午の地を基準とする)。 - 求月食所起:食が陽暦にあれば東北に始まり正北で最も深く西北で終わる、陰暦にあれば東南に始まり正南で最も深く西南で終わる。八分以上なら正東に始まり正西で終わる(同じく午の地を基準とする)。 - 求日月出入帶食所見分數:食甚が日の出入の前後にまたがる場合(帶食)の、出入時に見える食分を求める。 - 求日月食甚宿次:食甚入盈縮暦定度に天正冬至加時黄道日度を加え、食甚の宿次及び分秒を得る。

歩五星第七(五星の運行を求める算法)

【共通の基本数】 - 暦度:三百六十五度二十五分七十五秒。暦中:百八十二度六十二分八十七秒半。暦策:十五度二十一分九十秒六十二微半。

木星

  • 周率:三百九十八万八千八百分。周日:三百九十八日八十八分。暦率:四千三百三十一万二千九百六十四分八十六秒半。度率:十一万八千五百八十二分。合應:百十七万九千七百二十六分。暦應:千八百九十九万九千四百八十一分。盈立差:二百三十六加、平差:二万五千九百十二減、定差:千八十九万七千。伏見:十三度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 十六日(八十/六〇) 三度(八十六/) 二度(九十五/) 二十三分
晨疾初 二十八日 六度(十一/) 四度(六十四/) 二十二分
晨疾末 二十八日 五度(五十一/) 四度(十九/) 十一分
晨遅初 二十八日 四度(三十一/) 三度(二十八/) 十八分
晨遅末 二十八日 一度(九十一/) 一度(四十五/) 十二分
晨留 二十四日
晨退 四十六日(五十/八) 四度(八十八半/十二) 空(三十二半/八十七)
夕留 四十六日(五十/八) 四度(八十八半/十二) 空(三十二半/八十七) 十六分
夕退 二十四日
夕遅初 二十八日 一度(九十一/) 一度(四十三/)
夕遅末 二十八日 四度(三十一/) 三度(二十五/) 十二分
夕疾初 二十八日 五度(五十一/) 四度(十九/) 十八分
夕疾末 二十八日 六度(十一/) 四度(六十四/) 二十一分
夕伏 十六日(八十/六〇) 三度(八十六/) 三度(九十五/) 二十二分

火星

  • 周率:七百七十九万九千二百九十分。周日:七百七十九日九十二分九十秒。暦率:六百八十六万九千五百八十分四十三秒。度率:一万八千八百七分半。合應:五十六万七千五百四十五分。暦應:五百四十七万二千九百三十八分。
  • 盈初縮末立差:千百三十五減、平差:八十三万千百八十九減、定差:八千八百四十七万八千四百。縮初盈末立差:八百五十一加、平差:三万二百三十五負減、定差:二千九百九十七万六千三百。伏見:十九度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 六十九日 五十度 四十六度(五十/) 七十三分
晨疾初 五十九日 四十一度(八十/) 三十八度(八十/七〇) 七十二分
晨疾末 五十七日 三十九度(〇八/) 二十六度(三十/四〇) 七十分
晨次疾初 五十三日 三十四度(十六/) 二十一度(七十/七〇) 六十七分
晨次疾末 四十七日 二十七度(〇六/) 二十五度(十/五〇) 六十二分
晨遅初 三十九日 二十七度(七十/二〇) 十六度(四十/八〇) 五十三分
晨遅末 二十九日 六度(二十/) 五度(七十/七〇) 三十八分
晨留 八日
晨退 二十八日(九十六/四十五) 八度(六十五半/六十七) 六度(四十六半/三十二)
夕退 二十八日(九十六/四十五) 八度(六十五半/六十七) 六度(四十六半/三十二) 四十四分
夕留 八日
夕遅初 二十九日 六度(二十/) 五度(七十/七〇)
夕遅末 三十九日 十七度(七十/二〇) 十六度(四十/八〇) 三十八分
夕次疾初 四十七日 二十七度(〇四/) 二十五度(十/五〇) 五十三分
夕次疾末 五十三日 三十四度(十/六〇) 三十一度(七十/七〇) 六十二分
夕疾初 五十七日 三十九度(〇八/) 三十六度(三十/四〇) 六十七分
夕疾末 五十九日 四十一度(八十/) 三十八度(八十/七〇) 七十分
夕伏 六十九日 五十度 四十六度(五十/) 七十二分

土星

  • 周率:三百七十八万九百十六分。周日:三百七十八日九分十六秒。暦率:一億七百四十七万八千八百四十五分十六秒。度率:二十九万四千二百五十五分。合應:十七万五千六百四十三分。暦應:五千二百二十四万五百六十一分。
  • 盈立差:二百八十三加、平差:四万千二十二減、定差:千五百十四万六千百。縮立差:三百三十一加、平差:一万五千百二十六減、定差:千百一万七千五百。伏見:十八度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 二十日 二度(四十/) 一度(四十九/) 十二分
晨疾 三十日 三度(四十/) 一度(十一/) 十一分
晨次疾 二十九日 二度(七十五/) 一度(七十一/) 十分
晨遅 二十六日 一度(五十/) 初八十三 八分
晨留 三十日
晨退 五十二日(六十四/五十八) 三度(六十二半/五十四) 初(二十八半/四十五)
夕退 五十二日(六十四/五十八) 三度(六十二半/五十四) 初(二十八半/四十五) 十分
夕留 二十日
夕遅 二十六日 一度(五十/) 初八十三
夕次疾 二十九日 二度(七十五/) 一度(七十一/) 八分
夕疾 三十日 三度(四十/) 二度(十一/) 十分
夕伏 二十日(四十/) 二度(四十/) 一度(四十九/) 十一分

金星

  • 周率:五百八十三万九千二十六分。周日:五百八十三日九十分二十六秒。暦率:三百六十五万二千五百七十五分。度率:一万。合應:五百七十一万六千三百三十分。暦應:十一万九千六百三十九分。
  • 盈縮立差:百四十一加、平差:三減、定差:三百五十一万五千五百。伏見:十度半。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 三十九日 四十九度(五十/) 四十七度(六十/四〇) 一度(二十七分半)
夕疾初 五十二日 六十五度(五十/) 六十三度(〇四/) 一度(二十六分半)
夕疾末 四十九日 六十一度 五十八度(七十/) 一度(二十五分半)
夕次疾初 四十二日 五十度(三十/五〇) 四十度(二十/六〇) 一度(二十三分半)
夕次疾末 三十九日 四十二度(五〇/) 二十五度(九十/) 一度(十六分)
夕遅初 三十三日 二十七度 四度(九十/九〇) 一度(二分)
夕遅末 十六日 四度(二十五/) 四度(〇九/) 六十二分
夕留 五日
夕退 十日(九十五/十三) 三度(六十九/八十七) 一度(五十九/十三)
夕退伏 六日 四度(三十五/) 一度(六十三/) 六十一分
合退伏 六日 四度(三十五/) 一度(六十二/) 八十二分
晨退 十日(九十五/十三) 三度(六十九/八十七) 一度(五十九/十三) 六十一分
晨留 五日
晨遅初 十六日 四度(二十五/) 四度(〇九/)
晨遅末 三十三日 二十七度 二十五度(九十/九〇) 六十二分
晨次疾初 三十九日 四十二度(五十/) 四十度(九十/) 一度(二分)
晨次疾末 四十二日 五十度(二十/五〇) 四十八度(三十/六〇) 一度(十六分)
晨疾初 四十九日 六十一度 五十八度(七十/十〇) 一度(二十二分半)
晨疾末 五十二日 六十五度 六十三度(〇四/) 一度(二十五分半)
晨伏 三十九日 四十九度(五十/) 四十七度(六十/四〇) 一度(二十六分半)

水星

  • 周率:百十五万八千七百六十分。周日:百十五日八十七分六十秒。暦率:三百六十五万二千五百七十五分。度率:一万。合應:七十万四百三十七分。暦應:二百五万五千百六十一分。
  • 盈縮立差:百四十一加、平差:二千百六十五減、定差:三百八十七万七千。晨伏夕見:十六度半。夕伏晨見:十九度。
段目 段日 平度 限度 初行率
合伏 十七日(七十/五〇) 三十四度(二十/五〇) 二十九度(〇八/) 二度(十五分/五十八)
夕疾 十五日 二十一度(三十/八〇) 十八度(十/六〇) 一度(七十分/三十四)
夕遅 十二日 十度(十/二〇) 八度(五十九/) 一度(十四分/七十二)
夕留 二日
夕退伏 十一日(十八/八十) 七度(八十一/二十) 二度(十/八十)
合退伏 十一日(十八/八十) 七度(八十一/八十) 二度(十/八十) 一度(三分六/四十)
晨留 二日
晨遅 十二日 十度(十/二〇) 八度(五十九/)
晨疾 十五日 二十一度(三十/八〇) 十八度(十/六〇) 一度(十四分/七十二)
晨伏 十七日(七十/五〇) 三十四度(二十/五〇) 二十九度(〇八/) 一度(七十分/三十四)

【五星共通の算式】 - 推天正冬至後五星平合及諸段中積中星:中積に合應を加え、その星の周率で割った余りから前合・後合を求め、天正冬至後の平合の中積・中星を得る。段日を累加して諸段の中積・中星とする。 - 推五星平合及諸段入暦:中積に暦應及び後合分を加え、暦率で割って平合入暦度を求め、諸段の限度を累加して諸段入暦とする。 - 求盈縮差:入暦度が暦中以下なら盈、以上なら減じて縮とし、初限・末限を定め、各星の立差・平差・定差を用いて盈縮差を求める(別法として暦策による損益率を用いる方法も示される)。 - 求平合諸段定積:中星に盈縮差を加減して定積日及び分秒を得て、天正冬至日分を加えて日辰を得る。 - 求平合及諸段所在月日:定積に天正閏日を加え、朔策で割ってその段の入月経朔日数・所在の月日を得る。 - 求平合及諸段加時定星:中星に盈縮差を加減(金星は倍、水星は三倍)して定星とし、天正冬至加時黄道日度を加えて宿度を得る。 - 求諸段初日晨前夜半定星:初行率と加時分から、その段初日晨前夜半の定星を求める。 - 求諸段日率度率:前後の段の日辰の差を日率、夜半宿次の差を度率とする。 - 求諸段平行分:度率を日率で割り、その段の平行度及び分秒を得る。 - 求諸段增減差及日差:前後の平行分の差から汎差・増減差・総差・日差を求める。 - 求前後伏遲退段增減差:伏・遅・退の各段について、前後段の初日・末日の行分から増減差を求める(木火土三星の退行は平行分の六因、金星の退行は平行分の三因半、水星の退行は平行分の半分を増減差とする)。 - 求每日晨前夜半星行宿次:初日行分を日差で損益し、毎日の行度及び宿次を求める。 - 求五星平合見伏入盈縮暦:定積日から入盈暦・入縮暦、初限・末限を求める。 - 求五星平合見伏行差:その段初日の星行分と太陽行分との差(金水の退合は和)を行差とする。 - 求五星定合定見定伏汎積:木火土三星は平合晨見夕伏の定積日をそのまま汎積とし、金水二星は盈縮差度を行差で除して汎積を加減する。 - 求五星定合定積定星:木火土三星は行差で太陽盈縮積を除して距合差日・距合差度を求め、定合定積・定星を得る。金水二星は順合・退合の別により同様に定合定積日及び定星度を求め、定合の日辰・所躔黄道宿度を得る。 - 求木火土三星定見伏定積日:見伏の汎積日に、九十一日三十一分六秒を基準とした換算値・見伏度・行差を用いて定見伏定積日を求める。 - 求金水二星定見伏定積日:伏見日行差により日を求め、常積・定積を経て定見定伏定積日及び日辰を得る。