大唐西域記屈支國

  • 要旨: 屈支国(旧名亀茲)の地理・物産・風俗と、龍馬伝説や仏教寺院にまつわる霊異譚を記す。

地理と物産

  • 東西千余里、南北六百余里、大都城は周囲十七、八里に及ぶとする。
  • 穄・麦・粳稲・葡萄・石榴・梨・柰・桃・杏を産し、黄金・銅・鉄・鉛・錫を産する。
  • 音楽・伎楽が諸国随一に優れているとする。

風俗と統治

  • 文字はインドに倣うが変化があり、王は屈支種だが実権は強臣に握られているとする。
  • 子が生まれると木で頭を押さえて形を整える風習があるとする。
  • 伽藍百余か所、僧徒五千余人が小乗説一切有部を学び、戒律を重んじるが漸教にとどまるとする。

大龍池と龍種の伝説

  • 城の東北にある大龍池では龍が姿を変えて牝馬と交わり、荒々しい龍馬を生むとされ、この国に良馬が多い由来とされる。
  • かつて金花王という王が竜の乗騎に感応した伝承や、竜が人に化けて婦人と交わり、その子孫が驕り高ぶって王命に背いたため、王が突厥を引き入れてこの城の住民を皆殺しにしたという言い伝えを記す。
  • その結果、城は荒廃し人煙が絶えたとする。

照怙釐伽藍と仏跡

  • 廃城の北にある東西二つの照怙釐伽藍には精巧な仏像があり、東の伽藍の仏堂には仏の足跡が刻まれた石があり、時に光を放つと伝える。
  • 大城西門外の立仏像の前では五年に一度の大法会が行われ、秋分の頃に数十日間、王侯から庶民まで挙って参集し、仏像を飾って行列させる「行像」の儀礼があるとする。
  • 王や大臣は毎月十五日・晦日に高僧に諮って国事を議するとする。

阿奢理児伽藍の由来譚

  • 会場の西北、河を渡った先にある阿奢理児伽藍(「奇特」の意)は、学徳兼備の僧が集う荘厳な寺院であるとする。
  • その由来として、先王の弟が留守を託された際、讒言を恐れて自ら去勢し証拠として金の箱に納めて王に献じた逸話や、後に牛の去勢を助けたことで体が回復し、これを機に伽藍を建てたという奇譚を記す。