大宋中興通俗演義第七十四回 效顰集、東窓の事が発覚する (效顰集東窗事犯)
胡迪、秦檜への憤りを詩に詠む
成都の書生・胡迪は義憤にあつい性格で、ある日酒を飲みながら秦檜の伝記「東窗傳」を読み、その悪行に激怒して書を投げ捨て、閻魔になれるものなら秦檜の皮を剥いでやりたいと詩に詠む。(詩:秦檜への激しい怒りと、自らが裁く者になりたいという願いを述べる内容)
冥府への召喚
詩を吟じて眠りについた胡迪は、皂衣の使者二人に導かれて冥府「曜靈之府」へ連れて行かれる。閻王の前に引き出された胡迪は、儒者でありながら天地鬼神を謗るのかと咎められるが、先の詩は秦檜への怒りゆえだったと弁明する。閻王は「筆が立つようだから」と紙筆を与えて事の是非を論じさせ、供述次第で寿命を延ばすか地獄送りにするかを決めるという。胡迪は長文の弁明状をしたため、岳飛父子の冤罪と秦檜夫妻の悪行を並べ、自分の怒りは私心によるものではなく、勧善懲悪の道理に基づくものであると論じた。
閻王との問答
弁明を読んだ閻王は胡迪の頑固さを笑いつつも、その公正な心を認める。胡迪が「自分が閻羅になれば」と言った不敬を咎めると、胡迪は韓擒虎や寇準・江丞相などが死後に冥官となったという伝承を引き、冥府の官はもとより人間界の正しい人物が務めるものだと応じる。この受け答えに感心した閻王は、胡迪を地獄の実際の様子を見せることで善悪応報を実感させようと考え、獄卒に案内を命じる。
諸獄の見学
胡迪は「普掠之獄」をはじめとする諸獄を巡り、秦檜・秦熺父子と万俟卨、そして秦檜の妻王氏が、風雷・金剛・火車の各獄で繰り返し風刀・雷撃・飛戈・火車の責め苦を受けては元の姿に戻され、何度も同じ苦しみを味わわされている様を目の当たりにする。案内の緑衣の役人は、章惇・蔡京父子・王黼・朱勔らかつての奸臣たちも同様の刑を受けていると告げる。