帝王略論卷五 周文帝

周文帝(宇文泰)の評

  • 公子は、高氏(北斉)は黄河・海の利を負い、周(宇文氏)は崤山・函谷関の険を固めているが、その智略を論じればどちらが優れるかと問うた。
  • 先生は答えた。国境の広さや兵の数を語れば周が強く斉が弱く、単なる雁行の差ではないほどである。周の文帝(宇文泰)はひそかに軍を進めて到達し、果断に少数で多数を撃ち破った。周瑜が曹操を破った戦いも、謝玄が苻堅を退けた戦いも、これに勝るものではない。そうでなければ、一介の軍卒の身から覇業を打ち立てられたはずがない。奇謀と深謀遠慮には確かに見るべきものがあった。しかし後事を甥に託し、その一族が互いに殺し合う事態を招いたのだから、人を見抜く英知の点では、この一事において誤りがあったと言うべきである。