帝王略論卷四 宋高祖

本巻の目次(原文所載)

  • 宋高祖/宋文帝/宋孝武帝與明帝/齊高帝與武帝/齊明帝/宋齊二代廢主/梁武帝/梁元帝/陳高祖/陳文帝與宣帝/長城公

宋高祖(劉裕)への評

  • 問い:宋の高祖は桓玄を誅滅し晋室を再興したが、前代の誰と比べられるか。
  • 答え:梁の裴子野は当時、良史の才があるとされ、宋の高祖を魏の武帝(曹操)・晋の宣帝(司馬懿)に比した。しかしこの二人と比べるのは適切ではないと思われる。
  • 問い:曹操は一代の英傑、司馬懿はしばしば大功を立てた。この二人に比するのは高い評価であり、優れた点で通じ合うものがあるのではないか。
  • 答え:曹操は曹騰の孫で、代々漢に仕えて栄達し三十余年を経ており、董卓の乱に際して山東の諸侯とともに挙兵し元凶を誅滅したが、それは必ずしも自らの力によるものではない。司馬懿は歴代卿相を務め位は三公の極に至り、天下の実権を掌握し安泰な立場にありながら、詔を奉じて逆賊を誅したにすぎず、たとえて言えば瓶を高所から傾けるようなもの(労せずして事を成す)である。これに対して宋の高祖は一介の匹夫として剣を執って立ち上がり、旬月の間に大業を興し、晋の帝統を再び安んじた。半州の地と一郡の兵を率いて、譙縦を蜀で斬り、姚泓を崤函で捕らえ、慕容超を青州で破り、盧循を嶺外で討ち滅ぼした。出兵すれば勝たないことはなかった。その豁達で度量の広い様は漢の高祖の風を思わせ、勝利をつかむ胸中の器量は光武帝に匹敵する。惜しむらくはその在位が短く、志を十分に発揮できなかったことである。