資治通鑑宋紀十四 太宗明皇帝 泰始 四年 468年

正月 南郊祭祀と豫州方面の戦い

  • 正月己未、明帝は南郊を祀り、大赦を行った。
  • 魏の汝陽司馬趙懷仁が武津に侵攻したが、豫州刺史劉勔が申元徳を派遣してこれを破った。
  • さらに汝陽台の東で魏の于都公閼于抜を斬り、兵糧輸送車千三百乗を鹵獲した。
  • 魏が再び義陽に侵入すると、劉勔は司徒参軍孫曇瓘を派遣して撃破した。

賈元友の北伐策と劉勔の慎重論

  • 淮西の民、賈元友が陳・蔡を奪回する策を上書した。
  • 明帝はこれを劉勔に示したが、劉勔は、魏は昨冬以来すでに宋領を荒らし数郡を占拠しており、宋は失地回復もできていないのに滅魏など論外だとした。
  • また、辺境の者は王師が強ければ歓迎するが、退けばたちまち略奪者に変わるのが常であり、これまで軽々しく進言を採用して後悔した例が多いと述べ、明帝もこれに従って計画を中止した。

東徐州・兗州方面で相次ぐ降伏

  • 魏の尉元は張讜を説得し、団城は魏へ降った。魏は高閭を張讜と並立する東徐州刺史とした。
  • 李璨は畢衆敬と並んで東兗州刺史となった。
  • 尉元はさらに王整・桓忻も説得し、二人も魏に降った。
  • この功により尉元は開府儀同三司・都督徐南北兗三州諸軍事・徐州刺史となり、彭城に鎮した。
  • 薛安都・畢衆敬は平城に召され、上客として厚遇された。親族たちも侯に封じられ、邸宅や資給を与えられた。

二月 歴城陥落と梁鄒降伏

  • 慕容白曜は一年にわたる包囲の末、二月庚寅に歴城の東郭を破り、癸巳に崔道固は自ら縛を受けて降伏した。
  • 白曜は崔道固の子崔景業と、劉休賔の子劉文曄を梁鄒へ送り込んだ。これにより劉休賔も降伏した。
  • 白曜は道固・休賔とその僚属を平城へ送った。

常珍奇の再敗走と王玄謨の死

  • 常珍奇は司・北豫二州都督、司州刺史に任じられていたが、魏の西河公石に攻められると単騎で寿陽へ逃れた。
  • 乙巳、車騎大将軍王玄謨が死去した。諡は荘公である。

三月 東陽包囲と青州方面の混乱

  • 慕容白曜は歴城を得ると東陽の沈文秀を包囲した。これは先に酈範が勧めた方策に従ったものである。
  • 明帝は崔道固の兄の子・崔僧祐に兵数千を与えて海路から歴城救援に向かわせたが、不其に着いた時点で歴城がすでに落ちていたため、そのまま魏に降った。
  • 交州では刺史劉牧が死去し、州人の李長仁が劉牧の北来部曲を殺して州を奪い、自称刺史として反乱を起こした。
  • 広州刺史羊希は劉思道に俚の討伐を命じたが、思道は命令に背いて敗北し、逆に州を攻めた。羊希は敗死し、陳伯紹が俚征討から帰ると劉思道を捕えて斬った。

四月 租税軽減と劉勔の勝利

  • 四月己卯、郡県の田租を再び半減した。
  • 東海王禕を廬江王に、山陽王休祐を晋平王に移封した。これは廃帝がかつて禕を侮って「驢王」と呼んだことを踏まえた処置である。
  • 劉勔は許昌で魏軍を破った。
  • 魏では李惠を征南大将軍・儀同三司・都督関右諸軍事・雍州刺史とし、王爵に進めた。

五月から六月 魏朝の人事

  • 五月、魏主は崞山へ狩りに出て、さらに繁畤へ赴き、辛酉に還宮した。
  • 六月、魏は馮熙を太傅とした。馮熙は馮太后の兄である。

七月から九月 蕭道成の動向と東青州設置

  • 七月、蕭道成を南兗州刺史とした。
  • 八月、劉勃を交州刺史とした。
  • 明帝は沈文秀の弟・沈文静を輔国将軍、高密など五郡軍事とし、海路から東陽救援に向かわせた。しかし不其で魏軍に遮断され、そのまま城を守るしかなかった。
  • 辛卯、青州を分けて東青州を置き、沈文静を刺史とした。
  • 九月、魏は宗室の楨を南安王、長寿を城陽王、太洛を章武王、休を安定王に封じた。

冬 日食、交州問題、不其陥落

  • 十月朔に日食があった。宋は諸州の兵を発して北伐を命じた。
  • 十一月、李長仁が使者を送り、自らを州事行事まで引き下げて降伏を願ったので、これを許した。
  • 十二月、魏は不其城を陥し、沈文静を殺して東陽の西郭へ入った。

義嘉の乱の余波と昭太后改葬

  • かつて義嘉の乱の際、巫師の進言によって修寧陵を発いて玄宮を辱め、厭勝としたことがあった。そのためこの年、昭太后を改葬した。

宮廷政治の退廃

  • 中書侍郎・舎人は、もとは名流が任じられることが多かったが、太祖のころから寒士も用いられ、世祖の代は士庶混用となっていた。
  • 明帝に至ると、阮佃夫・王道隆・楊運長ら側近の小人物が政事に深く参与し、その権勢は人主に次ぐほどとなった。
  • とくに阮佃夫は横暴で、賄賂を大いに取り、贈物が規定に満たなければ相手にもしなかった。邸宅・飲食・妓楽・服飾はいずれも諸王をしのぎ、朝士も下僕もこぞってこれに取り入った。