- 要旨: 虚を虚のまま見せることで、敵に疑いの中にさらなる疑いを生じさせ、あえて備えのなさをさらけ出して敵を退かせる計略。
計の要点
- 「虛者虛之、疑中生疑」として、虚である状態をあえて虚のまま示すことで、敵の疑心を深めるべきだとする。
按語の補足
- 兵に定まった形はなく、虚実は状況に応じて使い分けるべきであり、虚を虚のまま示す策は諸葛亮以降も多くの実例があるとする。
- 唐代、吐蕃が瓜州を陥落させ王君奐が戦死した後、河西一帯が動揺する中、張守珪が瓜州刺史として城の再築にあたっていたところ、城壁が完成しないうちに敵が急襲してきた。守備の備えがなく士気も低い中、張守珪は城壁の上で酒宴を開き将士を集めたところ、敵は城内に備えがあると疑って攻めずに退いたという(唐代、8世紀前半)。
- 北斉の祖珽が北徐州刺史として着任した直後、陳の侵攻を受けて民が多く反乱した際、城門を閉ざさず守備兵を城壁から下ろして街路に静かに座らせ、通行人や鶏犬まで禁じたところ、敵は何も見聞きできず、城が空になったと誤解して警戒を解いた。そこで祖珽が大声で太鼓を打ち鳴らさせると、敵は驚いて散り散りに逃げ去ったという(南北朝時代、6世紀)。