三十六計釜底抽薪

  • 要旨: 敵の力そのものに正面から抗せず、その勢いの源を絶つことで力を無効化する計略。

計の要点

  • 「不敵其力、而消其勢」として、敵の力に真っ向から抗するのではなく、その勢いを生む根本を消し去るべきだとする。
  • 沸き立つ湯は力そのものであり正面から受けるべきではないが、その下の薪は力の源であるとし、力そのものは防ぎがたくても、その勢いは絶つことができるとする。

按語の補足

  • 「気が充実していれば戦い、気を奪われれば逃げる」という『尉繚子』の言葉を引き、気を奪う方法は敵の心を攻めることにあるとする。
  • 後漢の呉漢が大司馬であった時、夜襲を受けて軍中が動揺したが、呉漢は動じず横になったままでいたため、やがて軍中も落ち着き、その後精鋭を選んで反撃し大破したという(後漢初期、1世紀)。
  • 北宋の薛長儒が漢州に駐屯していた際、数百人の州兵が反乱を起こし、知州らを殺そうとしたが誰も出ようとしない中、薛長儒は単身で塀を越えて反乱軍の中に入り、「叛く者は左に、脅されて従った者は右に立て」と説いたところ、数百人が右に立ち、首謀者十三人だけが逃げ出して捕らえられ、一城の惨事を防いだという(北宋、11世紀頃)。これも敵の心を攻めて気を奪う応用例とする。
  • 敵と敵とが対峙する場面では、強敵の手薄なところを突いて、成就しかけた戦功を崩すという使い方もあるとする。