三十六計聲東擊西

  • 要旨: 敵の意志が乱れ、不測の事態への備えがない時、東を攻めると見せて西を撃つべきだが、敵が乱れていない場合はかえって危険な策であるとする計略。

計の要点

  • 敵の志が乱れ動揺し、不測の備えがない状態を象徴する「坤下兌上」の卦に例え、敵が自ら定まらない隙を利用して奪うべきだとする。

按語の補足

  • 前漢の呉楚七国の乱で、周亜夫が城壁を固めて戦わず、呉軍が東南の隅に殺到した際にはあえて西北に備えを固めた。果たして呉王の精鋭は西北を攻めたが、備えがあったため突破できなかった。この場合は敵の意志が乱れておらず、自ら定まっていたためだとする(前漢、紀元前154年)。
  • 後漢末、朱儁が黄巾軍を宛城で包囲した際、土山を築いて城内を見下ろし、太鼓を鳴らして西南を攻めると見せかけ、黄巾軍が皆そちらに集まったところを、自ら率いる精鋭五千で東北から手薄を突いて突入した。この場合は敵の意志が乱れ、不測の事態への備えがなかったためだとする(後漢末、184年頃)。
  • したがって声東撃西の策は、敵の意志が乱れているかどうかを見極めて用いるべきであり、乱れていれば勝てるが、乱れていなければ自ら敗亡を招く危険な策であるとする。