三國演義第六十八回 甘寧は百騎をもって魏の陣営を襲い、左慈は盃を投げて曹操をからかう (甘寧百騎劫魏營 左慈擲盃戲曹操)
凌統と甘寧の先陣争い
- 曹操の大軍が合肥救援に迫る中、孫権は凌統に三千の兵で偵察させる。凌統は張遼と互角に渡り合うが、決着つかず退く。
- 甘寧は「百騎あれば十分」と申し出て孫権を驚かせ、夜襲を許される。
甘寧百騎の夜襲
- 甘寧は百人の兵に酒肉を振る舞い、白い鵝の羽を兜に挿して目印とし、夜襲を敢行。曹操の中軍に切り込み大混乱を引き起こすが、守りが堅く深入りできず、一人一騎も損なうことなく引き上げる。
- (詩:甘寧の武勇を讃える内容)
- 孫権は甘寧を厚く賞し、「孟徳に張遼あらば、我に甘興霸あり」と評する。
凌統と甘寧の和解
- 翌日凌統が張遼と再戦するが、曹休の放った矢で落馬し、危機に陥ったところを甘寧の援護で救われる。以後二人は生死を共にする間柄となる。
濡須の激戦と将の奮闘
- 曹操は五路に分けて濡須を攻撃。董襲は嵐の中で船を捨てず溺死、徐盛・陳武も奮戦するが陳武は討死する。
- 孫権自身も包囲されるが、周泰が三度も敵中に戻って救出し、呂蒙も加勢して脱出する。援軍の陸遜が到着して曹操軍を撃退する。
孫権の労い
- 孫権は董襲・陳武を手厚く葬り、満身創痍の周泰の傷跡を一つ一つ確かめて労い、青い傘の使用を許して顕彰する。
曹操との和議と魏王即位
- 両軍膠着の末、張昭・顧雍の進言で東呉から和議を申し出て曹操も応じ、双方兵を引く。
- 群臣が曹操を魏王に推す中、崔琰が強く反対して曹操の怒りを買い、獄中で杖殺される。
- (詩:崔琰の剛直を讃える内容)
- 献帝はついに曹操を魏王に冊立、曹操は天子の車服儀礼を用いるまでになる。世子選びでは曹丕が賈詡の助言(袁紹・劉表父子の失敗を引き合いに出す)により曹植を退けて世子となる。
左慈の登場
- 魏王宮の造営に伴い各地から珍花奇果を集めさせる中、孫権が献上した柑子が届く途中、異人・左慈が人足を助け、中身を空にしてしまう。
- 曹操の前に現れた左慈は柑子の中身を元に戻し、酒肉を際限なく食し、遁甲の天書を得た経緯を語って曹操に隠退を勧める。曹操が拒むと、左慈は「劉備に位を譲らねば首を斬る」と言い放ち、曹操の怒りを買って捕らえられる。
- 拷問にも眠りこけ、枷鎖も自然に外れ、七日絶食しても顔色一つ変えない左慈に曹操は手を焼く。
宴席での妖術
- 宴の場で左慈は龍肝・牡丹の花・松江の四鰓鱸魚・紫芽姜を次々と不思議な術で取り出し、さらに金盆の中から曹操の著書『孟徳新書』そのままの写しを出して曹操を驚かせる。
- 酒を勧められた左慈は玉簪で酒を二つに分け、自分だけ飲んで曹操に差し出し、拒まれると盃を投げて白鳩に変え、姿を消す。
左慈捕縛の失敗と怪異
- 怒った曹操は許褚に追跡させるが、左慈は羊の群れに紛れて消え、羊の首だけが人語を発するなど怪異が続く。
- 城内外で左慈と同じ姿の者が三、四百人も見つかり、曹操はこれを皆処刑させるが、斬られた屍から立ち上る青い気が空中で一つの左慈の姿となり、「奸雄も終わりだ」と嘲笑う。曹操が射させると、屍がことごとく起き上がって首を提げ曹操に迫るという怪異が起こる。