- 要旨: 太公望は歩兵・戦車・騎兵それぞれが重んじるべき要点を示した上で、戦車運用における「十死の地」と「八勝の地」を具体的に列挙し、これを明察する将は必ず勝つと説く。
兵種ごとの重視点
- 武王が戦車の戦い方を問う。
- 太公望は、歩兵は変動を知ることを貴び、戦車は地形を知ることを貴び、騎兵は別径奇道を知ることを貴ぶとし、三軍は名は同じでも用い方が異なるとする。戦車の戦には死地十、勝地八があるとする。
十死の地
- 進んで還る道のない地。
- 険阻を越え敵の遠くまで乗じて行く地(竭地)。
- 前が易しく後ろが険しい地(困地)。
- 険阻に陥って出にくい地(絶地)。
- 圮れた低地や黒く粘る土の地(労地)。
- 左が険しく右が易しく、丘に登り坂を仰ぐ地(逆地)。
- 草木が畝を横ぎり深い沢を犯し歴る地(払地)。
- 車が少なく地が平坦で歩兵に敵わない地(敗地)。
- 後ろに溝瀆、左に深水、右に峻坂がある地(壊地)。
- 日夜霖雨が十日も止まず道が潰れ、前へも進めず後ろへも退けない地(陥地)。
- これら十が戦車の死地であり、拙い将はここで擒われ、明察な将はこれを避けると結ぶ。
八勝の地
- 敵の前後の行陣がまだ定まらないとき、これを陥れる。
- 旌旗が乱れ人馬がしばしば動くとき、これを陥れる。
- 士卒が前後左右に定まらないとき、これを陥れる。
- 陣が堅固でなく士卒が前後を気にし合っているとき、これを陥れる。
- 前に進んで疑い後に進んで怯えているとき、これを陥れる。
- 三軍が急に驚き皆薄って起こるとき、これを陥れる。
- 易しい地で戦い夕暮れまで解けないとき、これを陥れる。
- 遠くまで行軍して夕暮れに宿営し三軍が恐れているとき、これを陥れる。
- これら八つが戦車の勝地であるとする。
結び
- 将がこの十害・八勝を明察していれば、敵に千乗万騎で包囲されても、前に駆け旁らに馳せて、万戦して必ず勝つと結ぶ。武王はこれに「善哉」と応じる。