- 要旨: 太公望は武王の「強敵を攻めきれない・敵の親族を離間できない・敵の民衆を離散させられない」という三つの疑いに対し、それぞれ相手の性質を利用して逆用する方策を説く。
三疑の提起
- 武王は功を立てたいが、力では強敵を攻められず、敵の親を離間できず、衆を散らせないという三つの疑いがあるとし、どうすべきかを問う。
- 太公望は「そのまま利用し、謀を慎み、財を用いよ」と答える。
強を攻める
- 強敵を攻めるには、まずこれを養って強くならせ、増長させて張らせる。あまりに強ければ折れ、あまりに張れば欠ける。
- 強で強を攻め、親しみで親を離し、衆で衆を散らすという逆用の考え方を説く。
謀の周密さと離間の術
- 謀の道は周密であることを尊ぶとし、事をもって仕掛け、利をもって玩ばせれば、争う心が必ず起こるとする。
- 相手の親族を離間するには、相手が愛する者に取り入り、その寵愛する者に望むものを与え、利を示して疎ませ、志を得させないようにする。
- 相手が利を貪って喜べば、疑いは自ずと消えるとする。
攻略の順序
- 攻める道は、まず相手の明(判断力)を塞いでからその強を攻め、その大なるものを毀し、民の害を除くべきだとする。
- 色を淫らにし、利を啗(くら)わせ、美味で養い、楽しみで娯(たの)しませる。
- 敵の親族を離間したら、必ず民を遠ざけ、謀を知らせないようにし、扶けて内に納れその意図を悟らせずに事を成すべきだとする。
民への恵みと結び
- 民に恵みを施すには財を惜しんではならず、しばしば衣食を与えて慈しめば、それに従って民は君を愛するようになる。
- 心が智を啓き、智が財を啓き、財が衆を啓き、衆が賢を啓く。賢が啓かれることによって天下に王たることができると結ぶ。