- 要旨: 太公望は兵の道の要は「一」(意志の統一・専一)にあるとし、兵は凶器でやむを得ず用いるものだと戒めた上で、両軍が対峙して動けない場合の欺瞞・奇襲の術を説く。
兵の道と「一」
- 武王が兵の道を問うと、太公望は「兵の道は一に過ぎるものはなく、一なれば独り往き独り来ることができる」と答え、黄帝の言葉として「一は道に近く神に近い」を引く。
- 用いるかどうかは機(きっかけ)にあり、それを顕すかどうかは勢にあり、成すかどうかは君にあるとする。
- 聖王は兵を凶器と号し、やむを得ない時にのみ用いるとし、殷の紂王は存を知って亡を知らず、楽を知って殃を知らないと批判する。存は亡を慮ることの中にあり、楽は殃を慮ることの中にあると論じ、武王はすでに源(根本)を慮っているので流(枝葉)を憂える必要はないとする。
対峙時の欺瞞策
- 武王が両軍が対峙し互いに動けず固く備えている場合、こちらから襲おうとしても利を得られないときどうすべきかを問う。
- 太公望は、外は乱れているように見せて内は整え、飢えているように見せて実は満ち足らせ、内は精鋭でありながら外は鈍く見せ、離合集散を繰り返して謀を陰にし機を密にし、塁を高くして精鋭を伏せ、兵士は物音一つ立てず、敵にこちらの備えを知らせないようにすべきだとする。
- 西へ行くと見せて東を襲うといった、欺いて意表を突く戦法を説く。
情報が漏れた場合の対処
- 武王が敵にこちらの情報や謀が漏れた場合どうすべきかを問う。
- 太公望は、勝つための術は敵の機を密かに察知し速やかにその利に乗じ、敵の不意を突いて疾く撃つことにあると答える。