符信を待って動かず、洪水に死す
- 貞姜は齊侯の娘で、楚の昭王の夫人である。王が外出する際、夫人を漸台の上に留め置いて去った。王は川の水が大きく増していると聞き、使者を遣わして夫人を迎えさせようとしたが、符信を持たせるのを忘れた。使者が至り夫人に外へ出るよう求めたが、夫人は「王は宮人と、召し出すときは必ず符信を持たせると約束していました。今、使者は符信を持っていません。私はあえて使者について行くわけにはいきません」と答えた。
- 使者が「今、水がまさに大きく至ろうとしています。戻って符信を取りに行けば、間に合わなくなるでしょう」と言うと、夫人は「貞節な女の道理は約束を破らないこと、勇者は死を恐れないことです。ただ一つの節を守るのみです。私は使者に従えば必ず生き延び、留まれば必ず死ぬことを分かっています。しかし約束を捨て義を越えて生き延びるより、留まって死ぬほうがましです」と答えた。
- 使者は戻って符信を取りに行ったが、その間に水は大きく至り、台は崩れ、夫人は流されて死んだ。王は「ああ、義を守り節に死に、いい加減に生き延びようとせず、約束を守り信を貫いて、その貞節を全うした」と言い、彼女を貞姜と号した。君子は貞姜を婦人の節を備えた人物と評した。
史論
- 頌に曰く、楚の昭王が外出した際、姜を漸台に留めたところ、川の水が大きく至ったが、符信がないため使者について来なかった。夫人は節を守り、流されて死ぬことを疑わなかった。君子はこれを詩に取り上げ、上は伯姫と並び称した、という。