列女傳卷三 孫叔敖母

両頭の蛇をめぐる母子の対話

  • 楚の令尹孫叔敖の母である。叔敖が幼いとき、外で遊んでいて両頭の蛇を見つけ、殺して埋めた。
  • 家に帰って母の前で泣いていると、母がわけを尋ねた。叔敖は「両頭の蛇を見た者は死ぬと聞いていましたが、今日それを見てしまいました」と答えた。母が「その蛇は今どこにあるのか」と問うと、叔敖は「他の人がまた見てしまうことを恐れ、殺して埋めました」と答えた。
  • 母は「お前は死なない。人知れず善行を積む者には、必ずそれに応じた報いが表れる。徳は不祥に勝り、仁は多くの禍を除く。天は高いところにいながら、低いところの声もよく聞いている。書に『天は特定の人を偏愛せず、ただ徳のある者だけを助ける』とあるではないか。黙っていなさい、お前はきっと楚で立身するだろう」と述べた。
  • 叔敖は成長して令尹となった。君子は「叔敖の母は道徳の序列を知る者であった」と評した。

史論

  • 『詩経』に「母は聖にして善なる方であった」とあるが、まさにこのことである。
  • 頌に曰く、叔敖の母は天の道理を深く知っていた。叔敖が両頭の蛇を見て、殺して埋め、追いつかないことを恐れて泣いたとき、母は陰徳を積んだ者は死なず必ず長寿を得ると教えた、という。