高士傳卷一 善卷
経歴
- 善卷は古の賢人。堯は道を得た人物と聞き、北面してこれを師と仰いだ。堯が舜に位を譲った後、舜もまた天下を善卷に譲ろうとした。
舜への辞退の言葉
- 善卷は「昔、唐堯の世は教えずとも民が従い、賞せずとも民が励み、天下は均しく安らかで、民は怨みも喜びも知らなかった。今あなたは衣服を飾って民の目を眩ませ、音楽を繁雑にして民の耳を乱し、盛大な音楽を作って民の心を愚かにしている。天下の乱れはここから始まるだろう」と述べた。
- さらに「私は天地の間に立ち、冬は毛皮、夏は葛布を着て、春は耕作し秋は収穫して自ら食べるだけで満ち足り、日の出とともに働き日没とともに休み、天地の間を逍遥して心のままに生きている。天下など私に何の用があろうか」と語り、これを受けずに深山に入って行方を絶った。