- 要旨: 台州・金華・厳州方面の参将に着任した戚継光が、腐敗した衛所軍制を立て直すため専任の全権を求めた上申文。
制度の倒錯への批判
- 本来、衛所軍は民を守るために設けられたはずが、実際には民が兵糧を負担し、殺賊も民、守備も民という本末転倒が生じていると指摘する。
- 世情が改革を妨げる四つの弊害を挙げる。形式主義で日を空費すること、実務を担う者が病根を掴めないこと、疲弊した軍を見て「もはや立て直せない」と諦めること、軍を酷使すれば軍を損なった罪に問われることを恐れて手を出さないことである。
求める権限
- 弊害を改める権限を一任し、人事・訓練・制度改廃を随時裁量できるようにするよう求める。
- 具体的施策として六か条を挙げる。指揮系統の秩序回復(正名分)、軍を搾取する腐敗官の処罰、横暴な軍官の取り締まり、印なき私的な文書往来の禁止、戦死者への手厚い弔慰、戸口の把握と徭役の均等化である。
覚悟の表明
- 二年たっても軍が戦えるようにならなければ、それは自分の失策であると明言する。
- 改革には非難がつきものであることを承知の上で、身命を賭す覚悟を述べる。
- 総督軍門胡(嘉靖二十九年=1550年)および巡按御史周の裁可を得たことを記す。