十六国春秋南燕錄三 杜弘
孝行と忠義を両立した使者
- 杜弘、平原の人。徳に仕え従事中郎となった。先立って徳の母と兄の納(一に光とも)はいずれも長安にあり、徳は弘を遣わし長安へ赴き消息を尋ねさせた。弘は「私が長安に至って、もし太后の消息を確かめられなければ、そのまま西の張掖へ行き死をもって尽くします、ただ私の父・雄は今年すでに六十を超えながらまだ栄誉ある地位を得ていません、どうか本県の禄を賜り烏鳥の情(親孝行)を尽くさせてください」と願い出た。中書令張華は「杜弘はまだ出発もしていないのに禄を求めるとは、君主に要求を強いる罪は重い、行かせるべきではない」と述べたが、徳は「私はいま軽んじていた財を放出し、重んじる死者(母兄)のために人を送ろうとしているのに、まして親を敬う者に対して物惜しみできようか、しかも弘は主君のために親を迎え、父のために禄を求めているのだ、外見は要求のようでも内実は忠孝、何の罪があろうか」と述べ、雄を平原令に任じた。弘は張掖に至ると賊に殺された。徳はこれを聞き悲しみ、その妻子を手厚く扶助した。