十六国春秋後趙錄十二 樊坦

生涯

  • 樊坦、京兆の人。石勒に参軍として仕え、清廉慎重な人柄であった。章武内史に抜擢され辞去の挨拶に赴いた際、勒は坦の衣服がひどく傷んでいるのを見て「樊参軍はそれほど貧しいのか」と驚いた。坦は疎朴な性格から思わず「先頃、無道な羯胡に略奪され資財を失い困窮しております」と答えてしまい(勒自身が羯族であることを失念した失言であった)、勒は笑って「羯賊がそれほど大胆にそなたの物を奪ったか、今こそ償ってやろう」と応じた。坦は大いに恐れ汗を流して謝ることもできずにいると、勒は「わしの規律は俗士を取り締まるためのもの、そなたのような老書生には関わりない」と述べ、車馬・衣服・銭三百万を与えて貪欲を戒める見せしめとしつつも罪には問わなかった。