十国春秋卷八十八 吳越十二 列傳 范賛時
范賛時
- 范賛時は蘇州の人。父の夢齢は広陵王の子の文奉と親しく交わり、中呉軍節度推官の官にあった。賛時は博学で著述を好み、輯めた『資談』六十巻は世に多く蔵されている。子の墉は忠懿王に仕えて能吏の誉れがあり、国が亡ぶと王に従って宋に入り、武寧軍掌書記で終わった。
史論
- 論じて言う。吳仁璧が王母の墓銘を書かなかったことについて、あるいはその過ぎたるを譏り、身を全うする知恵に欠けると言う者もいるが、私はそうは思わない。匹夫にも志があり、終始変えぬものである。士が富貴に怯えて侯王の前で言葉を濁す者が比比としているのに比べれば、仁璧はまさに烈士と言うべきではないか。方・孫・石・厳は高く巌谷に身を隠し、宋・范は書物・学問に思いを馳せた。その人々にはみな取るべきところが多くあるのである。