十国春秋卷四十二 列傳 姜誌
姜誌
- 姜誌は許田の人である。幼い頃、黄巣の兵に掠め取られて父母を見失った。高祖の征伐に従い、たびたび戦功を立て、官は武信軍節度使に至り、太師を加えられた。これより先、馬丁の姜春という者が長年誌に仕えていたが、たびたび鞭打ちに遭い、後年、老いて鞭に耐えられなくなったため、泣いて誌の妻に田里に帰してほしいと乞うた。誌の妻はこれを憐れみ、その郷里や姻戚を尋ねたところ、もとは許昌の人で、一人の息子が捕虜として蜀に連れて来られ、その生死は分からないと言い、その幼名を述べ、また足に黒子(ほくろ)があるとも語った。それはまさに誌の父であった。誌はこれを知って大いに泣き、密かに人を遣わして剣門の外まで送らせ、高祖に「臣の父が最近、関東から参りました」と奏上した。そこで金帛・車馬をもって邸に迎え入れ、父子はもとどおりに再会した。誌はさらに父に杖を授け、自分の背を打たせて日頃の過ちを贖おうとした。これより数万の僧に斎(施し)を行い、生涯、従者を鞭打つことがなかった。